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シリーズ 消費最前線『全農マークを信頼のマークへ』 |
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◆激減した国産乾椎茸の需要
――平成13年4月に、全農椎茸から農産物全般を扱うという意味をこめて全農クロップスに社名変更をされましたが、取り扱い内容も変わりましたか。 齋藤 平成10年に私がこの会社に来たときには、乾椎茸の8に対してその他の農産品が2という割合でした。ところがいまは逆転して大豆やでん粉などの農産品が8割を占め、乾椎茸は2割と、業態が変わってきています。乾椎茸はかなり厳しい状況になってきていますね。 ◆見分けがつかない国産と中国産―DNAは同じ ――乾椎茸とその他の農産品では取引先はだいぶ違い、営業的にも大変でしょうね。 齋藤 乾椎茸は、生協、量販店、百貨店、通販そして業務用卸ですね。百貨店ではそごうさんとの取引きが大きかったのですが、いまはほとんどなくなりました。いまは、島屋さんと「全農安心システム」で取引きさせてもらっています。 ――乾椎茸が減少しているのは輸入の影響ですか。 齋藤 家庭需要の減少もありますが、中国産の輸入による影響が大きいですね。中国産は国産の1/3から1/4の値段です。しかも、見た目には国産とあまり変わりなく消費者は見分けがつきません。 ――それはなぜですか。 齋藤 日本のメーカーが菌を持ち込んでいますから、DNAは国産と同じです。気候風土の関係で特異性はでてきますが、ほとんど見分けはつきません。さらに、生産量が多く人件費がやすいためだと思いますが、選別が日本よりもきめ細かいですね。消費者も、見た目には分かりませんし、価格が安いから、どうしても中国産を買いますね。だから、量販店などの棚に占める国産品の割合は小さくなってきています。そのために、国内での産地の生産が減ってきていますし、不作が続きますます悪循環に陥っているといえますね。 ――不作は天候とか温暖化の影響ですか。 齋藤 それもあると思いますが、結果的には中国産がプライスリーダーになってしまって、国産の価格が生産者が再生産できないところまで下がっているので、生産者が手間をかけられず、それが商品に反映されるという悪循環ですね。 ――以前に中国産と国産の混入とか表示の問題があるという噂を聞いたことがありますが、そういう問題はないのですか。 齋藤 古い業界ですので、コンプライアンス意識の薄いところがあります。見た目が同じで価格が安いので、輸入品を国産といって売っているものが、いままではかなりあったと思いますね。表示問題が厳しくなって、昨年秋から国産価格が大暴騰し30%くらい高くなりました。これは、そういうことができなくなって、国産品を仕入れざるを得なくなったからだと私は見ています。 ◆加工履歴をトレースできるシステムで差別化・差異化 ――そうしたなか、これからの乾椎茸の事業展開についてはどうお考えですか。 齋藤 工場の実態を分析すると、進物用の見栄えのいいものとか、量販店の小袋、業務用にスライスしたものとか、取引先のニーズに合わせてかなりのアイテムがあり少量多品目だといえます。しかも、贈答品の季節は忙しいけれど、それを過ぎれば閑になることから、工場は非効率・高コスト体質にあるといえます。 ――そこではどういうことをコンセプトに検討しているのでしょうか。 齋藤 これからは価格競争をしない方向にもっていきたいということです。それでは、何を特徴としていくのかといえば、ユーザーとのPBや準PB商品も含めて、わが社で加工した商品については履歴がトレースできるような仕組みをつくっていこうと考え、システム開発を進めており、今年の夏くらいには稼動できると思います。 ◆全国の大豆産地を担う卸として急速に伸展 ――大豆はどうですか。 齊藤 全国の産地の大豆を扱っている卸業者はわが社だけです。そのため、ここ数年で急速に伸びてきています。さらに、全国の産地を担った事業展開をしていきたいと思います。 ――生産量も増えましたね。 齊藤 平成12年から面積が拡大しています。数量は平成10年を100とすると13年は245%、27万トン、14年も27万トンです。急激に数量が増えましたから、いままで輸入大豆しか扱っていなかったメーカーに、全農農産部と一緒になって、国産大豆に切り替えてもらい需要拡大していくのが一番の仕事です。 ――生協関係はどうですか。 齊藤 商談は生協としますが、実際に納めるのは各生協傘下のメーカーという形になりますが、増えてきています。 ◆消費者から信頼される仕組みづくりに ――今後については… 齊藤 大豆でも全農安心システム認証工場を目指したいなと思っています。そのことで、他の卸とは違う展開ができるのではないかと考えています。 ――今年は創立20周年を迎えるわけですが、今後のあり方についてはどうですか。 齊藤 取引先からは「全農マークがついているから安心だ」といわれています。これからも「全農マークだから」と消費者から100%信頼される仕組みをつくり、商品を提供したいと考えていますが、ハードルはけっこう高いですね。しかし、赤字になれば会社は存続できませんから、乗り越えていかなければならないですね。 |