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栄養と美味しさを両立させた金芽米 |
(株)東洋精米機製作所では、業界初の米メーカー「トーヨーライス株式会社」を設立、「金芽米」の事業をスタートした。
同社では、6月13日、千代田区丸の内の東京會舘において、「金芽米並びにトーヨーライス(株)設立記者発表会」を開催し、画期的な米「金芽米」の全貌と、新会社「トーヨーライス株式会社」の概要を明らかにした。
記者発表の会場には、一般紙、農業関係、米穀・食品関係の報道各社百数十社の記者が出席、この種の記者発表としては異例の関心の高さを見せた。
記者発表では雑賀社長が「新会社を立ち上げたのは先の無洗米の轍を踏まないため。無洗米には基準がなく、多様な無洗米が登場した。そうならないために、本当の“金芽米”を全国展開する会社を設立した」と説明した。
また「金芽米」については「白米は米偏に白で粕、糠は米偏に康で、健康、健やかの意味がある。栄養価が高く、消化も良く、食味の良い(亜糊粉層と胚芽の胚盤を残した)米の研究に取り組んできて、その開発にこのほど成功した」と述べた。
「金芽米」は、先般、東京農業大学で開催された、日本栄養・食糧学会において発表された新発明の均圧精米法により、高栄養・良食味を実現した新しいカテゴリーの米で、本年7月より関東の大手生協で販売を開始する。
また、11月の新米シーズンに合わせ、関東・関西地区の量販店や生協での販売を目指し、商談を開始する。
「金芽米」は、新しい精米技術によって、何も添加せず、玄米から栄養価と旨味成分の多い「金芽」と「亜糊粉層」の2点を残して精白された、白米よりも美味しく栄養価の高い米として開発された。
「金芽」とは、胚芽の表面部分(幼芽、幼根:口当たりが悪く、食味を損なう部分)を取り除いた栄養成分を多く含む部分で、この部分が金色に見えることから「金芽」と命名された。また、「亜糊粉層」と呼ばれる層は、「澱粉層」と「糊粉層」(ヌカ層)の間にあり、今まではほとんど着目されなかったミクロン単位の層で、多くの旨味成分と糖類・食物繊維・良質のタンパク質などの栄養分が含まれている。
新精米法(均圧精米法)は、従来の精米機では残すことが出来なかった玄米に備わっている「金芽」と、「亜糊粉層」を残して精白化するもの。
これにより、従来の白米に比べ、ビタミンEと食物繊維が約2倍、オリゴ糖は約1.5倍が摂取でき、さらに従来のご飯の美味しさに加え、ほのかな甘みとコクが味わえる全く新たな米「金芽米」が誕生した。
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図=米粒の縦断面略図 |
米の栄養価では、白米よりも玄米や胚芽米のほうが優れているが、味も消化も悪い。従って精米技術の歴史は、米を「美味しく」という点と、「栄養成分を残す」という相矛盾する点をいかに両立させるか、ということに苦心してきた。しかし、この二律背反の問題は、今日まで解決されていない。
そこで同社では、長年の精米技術のノウハウを基に、新技術の「均圧精米法」を開発し、BG無洗米機との関連によって、先述の相矛盾する点を解決し、高栄養、良食味の「金芽米」の開発に成功したものだ。
◆トーヨーライス(株)の設立について
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挨拶する雑賀社長 |
もともと、米穀業界では、本来ならメーカーが行うべき独自の商品開発やブランド構成・PRなどは行わずに、もっぱら米の品種(コシヒカリなど)をブランド代わりにしてきた。
トーヨーライス(株)は社会のニーズに応えた新しい米の開発、企画、提案、全国統一のブランド構築、広告宣伝など、従来の米穀企業が行わなかったメーカーとしての役割を果たしていく。
「金芽米」の製造は、トーヨーライスの品質管理のもと、全国各地の認証精米業者が行い、普及展開していく。これにより品種・銘柄に関係なく「金芽米」という統一ブランドが構築できる。
なお、初年度販売目標は10万トン、400〜500億円の売上をみこんでいる。また、「金芽米」の価格は従来の精白米より10%ほど高くなるものと見られている。
・新会社概要
社名:トーヨーライス株式会社
資本金:24億円
代表者:代表取締役 雑賀慶二
本社:東京都中央区銀座5−10−13
電話:03−3572−7550
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