農業協同組合新聞 JACOM
   
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無人ヘリなどで講演会 啓発活動の重要行事に
《静岡緑安協》

 静岡県緑の安全推進協会(杉山日出男会長・(株)トモグリーン・ケミカル社長、以下「静岡緑安協」)は6月24日、静岡市葵区のホテルアソシア静岡ターミナルで『緑の安全推進・啓発講演会』を開催した。『農林業における無人ヘリコプターの利用の現状と課題』では、(社)農林水産航空協会(以下「農水協」)の関口洋一会長が、『ゴルフ場における植生制御の現状と将来展望』では、宇都宮大学野生植物科学研究センターの小笠原勝助教授が、それぞれ講演を行った。
 残留農薬のポジティブリスト制の導入や緑の保全への関心が高まっていることから時宜を得た講演となり、ゴルフ場関係者や造園業者など約150名が参加した。講演要旨は以下のとおり。

◆『農林業における無人ヘリコプター利用の現状と課題』

関口洋一会長
関口洋一会長
 無人ヘリコプター(以下、「無人ヘリ」)の利用は、効率・経済的な省力技術として平成元年に実用化されて以来、稲作の病害虫防除を中心に生産性向上と労働力の軽減に寄与してきた。傾斜地など圃場条件に左右されず、かつ低毒性の農薬が均一・適正に散布でき、JAなどの生産組織での導入が多い。
 無人ヘリの開発は昭和55年、農水省が農水協に助成し、「遠隔誘導式小型飛行散布装置(RCASS)」を開発したことに始まる。農水協にRCASS研究開発会議(委員長:東昭東大教授)を設置し、操縦性などに視点がおかれ開発が進んだ。
 当初の開発目標は、同軸二重反転式の小型無人ヘリ(RCASS)であったが、十分な揚力を確保できるエンジンを準備することができず2号で制作を打ち切ることになる。
 いっぽう、研究会と協力して別途開発を進めていたヤマハ発動機が、63年にシングルローター式の「R−50」を完成させ、世界初の試みである無人ヘリの実用化に明るい兆しが見えてきた。
 平成3年農水省は「無人ヘリコプター利用技術指導指針」を制定、これを足がかりに農水協を中心とする無人ヘリの一元的な管理ならびに利用技術開発体制が確立されることになる。各社の開発が進むなか、現在ではR−50、YH−300、RMAX、RMAX−II G、AYH−3の5機種に集約されている。
 平成16年度の利用面積は66万3000haで、平成17年3月末現在、6機種2005機が東京、神奈川、和歌山、沖縄の4都県を除く43道府県に導入され、操作要員は全国で1万719名に達している。利用面積、操作要員数とも近年は毎年10〜20%前後の伸びを示している。稼働面積は1機当たり年間331haとなり、導入の経済性は年々向上している(グラフ1〜3)。
 「無人ヘリ散布の目標は全自動化。上空からほ場条件を把握し、これらのデータとともに散布範囲、散布量、風向きなどをコンピューターに記憶させ制御します。均一・適正量散布を実現し、ドリフトを防止することが現在の夢です」と、関口会長はまとめた。
無人ヘリコプターの普及状況・操作要員
無人ヘリコプターの普及状況・利用面積
無人ヘリコプターの普及状況・稼働面積

◆『ゴルフ場における植生制御の現状と将来展望』

小笠原助教授
小笠原助教授
 「ゴルフ産業は、農業とともに緑に直結した産業であることから、ゴルフビジネスの将来の方向性としては、緑に対する社会のニーズと整合性の取れたものでなければなりません」と、小笠原助教授は語る。
 現在の緑と人の関わりにおける問題は、食料と環境に大別できる。食料では食料自給率およびBSE、SARS、無登録農薬問題などによる食の安全性が指摘でき、環境では生態系、種多様性、外来生物、ヒートアイランド現象などが挙げられる。
 これらの背景をもとに、緑に関する法整備が進んでいる。主なものを見ると、「地球温暖化対策の推進に関する法律」(平成10年10月施行)、「持続農業法(エコファーマー認定)」(平成11年10月施行)、「循環型社会形成推進基本法」(平成12年6月施行)、「農薬取締法の改正」(平成14年改正、平成15年3月施行)、「外来生物法」(平成17年6月施行)となっている。
 緑の保全・持続について、同氏は「ゾーンニング(それぞれの領域にあった植生制御法)が重要」であり、緑と密接なゴルフ場は「社会の変化にたいして、経営的・栽培技術的なアプローチが必要」としている。
 ゴルフ場における植生制御の将来展望では、芝地における雑草防除を取りあげた。「除草剤の性能(ハード面)は格段に向上しているが、散布技術やタンクミックスなどのソフト面については改善すべき点がある」という。
 植生制御における今後の検討課題は(表)の通りだが、将来的な植生制御技術としては土壌環境の制御による芝草・雑草・微生物・昆虫などによる成長制御を挙げている。生物の生育はもとより、除草剤・肥料の効果を最大限引き出すために土壌水分の重要性も指摘した。
(表)植生制御における今後の検討課題
(2005.7.1)


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