ホクレン農業協同組合連合会(矢野征男会長、札幌市中央区)はさきごろ、三共子会社で農薬メーカーの北海三共(株)(津田憲一郎社長、北広島市)への出資比率を、2005年度中に現在の3.8%から約20%に引き上げていくことを明らかにした。詳細については今後、両者でつめていく。
資本関係をいっそう強めていくことで、てん菜(ビート)、小麦、ばれいしょなど高品質で安全・安心な北海道の農産物生産に適合した新規農薬開発を加速していくほか、海外製品導入の促進および共同開発も検討していく。
北海三共(株)が2005年度中に実施する第3者割当増資を引き受けるもので、取得額は5億6000万円。これにより、三共の出資比率は現在の約96%から80%に低下する。
昭和26年に設立された北海三共(株)は、北海道において唯一の研究部門を持つ総合農薬メーカーとして、独自のノウハウをベースに北海道農業の未来づくりに貢献する事業展開をはかっている。「地場の総合農薬メーカーとして、北海道の農業に役立つ会社であり続けたい」(津田憲一郎社長)という。
北海道の農薬市場は約300億円と見られる。系統200億円、商系100億円のウエイト。系統200億円の内訳は、北海三共80億円、北興化学50億円、クミアイ化学30億円、他メーカー40億円となっている(金額は本紙推定)。
【解説】 ホクレンの北海三共への出資は、同社が北海道特有の作物に対する農薬のラインナップをはかっていること、新剤導入のための研究機能を道内に所有していること、全剤型の生産ラインを持っていること、北海道における農作物の病害虫防除に精通していること、などが指摘できる。
ホクレンでは、「本会の農薬事業の取組み強化に当たり、同社の機能が総合的に優れていると考え出資を検討している」(広報宣伝課)という。
出資によるメリットは、同社工場を道内生産拠点として、将来にわたる系統農薬供給基盤の確保、両者相互の研究・普及機能の発揮による防除コスト低減に有意な品目の導入や登録の拡大が考えられ、ホクレンは「基幹生産資材である農薬の安定供給と営農コスト低減に応えていく」(同)。
今回の取組みは系統メーカーのみならず、商系メーカーに至るまで少なからず影響を与え、今後の展開が注目される。
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