日本農薬(株)(大内脩吉社長、本社:東京都中央区)は10月25日、平成17年9月期の業績予想(個別)を上方修正した。売上はわずかに前回予想に届かないものの、経常・当期純利益はともに向上させた。収益体質を大きく改善したことによる利益の確保と見られる。
11月中旬に発表される農薬工業会の年度末実績(平成16年10月〜平成17年9月)は、当用期の病害虫の小発生により対前年同期比を若干下回るものと思われる。本紙では、対前年同期比98%、67億円減の3277億円辺り(対前年同期は3344億円)と推測する。
同会が発表した8月度実績でも水稲殺虫剤(メイチュウ・ウンカ・ヨコバイ剤)・除草剤(体系処理剤)・野菜畑作殺虫剤(ダニ剤)・殺菌剤(土壌処理剤)などを除き数パーセントの幅で減少している。ちなみに、9月末のクミアイ安全防除推進協会の数値は97.8%。
日本農薬(株)では、主力事業の農薬製品・原体販売は国内外ともに、新規の水稲用殺菌剤「ブイゲット」などの自社開発品や利益品目を中心に拡販に努め、かつ新規医療用医薬品「ルリコナゾール」も製造承認を取得し売上に貢献した。
自社剤による利益率の改善と原価ならびに製造コストの低減に一般経費の削減が相乗効果を生みコストダウン効果を発揮した。さらに、懸案の年金制度廃止にともなう損失額が当初見込みより減少した。
外資系の直販攻勢などを冷静に受け止めてきた日本農薬(株)。「臥薪嘗胆」などの慣用語をつけるとお叱りを受けるかも知れないが、敢えて「業界のリーディングカンパニーとしての態度を先進的に鮮明にしている」との筆者の印象だ。
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