日本肥糧(株)の創業は1949(昭和24)年のことで、肥効促進材として効果の高い天然の腐植物質(木質泥炭)を活かした固形肥料の開発にある。
以来、農業資材の生産はもとより、安全で品質の良い作物の生産、施肥技術、土壌環境の改善などにたゆまず関心をもち、生産者とともに高品質農業への革新を目指して、新しい製品づくりの開発を進めてきた。ここで取りあげる新製品の天然腐植+バチルス発酵有機入り肥料『ビオンS888』は同社技術の粋を結集したもので、環境保全型農業などの社会的ニーズに対応した有力製品と思われる。
本年3月に肥料登録を取得した『ビオンS888』(登録名:くみあい有機入り粒状固形肥料S888)は、同社の特長ある天然腐植入り肥料に新たな付加価値としてバチルス菌(有用微生物)で発酵させた有機質肥料を添加したニュータイプの画期的な園芸専用肥料。
従来の天然腐植入り肥料のもつ肥料成分の利用効率の向上および作物の健全な生育をはかる特長に併せて、拮抗菌として知られているバチルス菌を活用したことにより、土壌中の微生物環境を改善する効果をもたせる肥料に仕上げた。
土壌中にバチルス菌は多く存在するが、同社では独自にその中でも特に効果の高いバチルス菌の選抜を行い(アミロリクエファシエンス近縁種)、単離培養した。いわば納豆菌の仲間と考えればよく、これを天然腐植入り肥料に添加することで土壌中の微生物の改善をはかり、連作障害などの軽減に結びつけた。
本製品の使用場面だが、同社では「土壌消毒だけでは十分な対策がとれない場面が増えていると思います。本製品を農薬およびその他の方法による土壌消毒処理の前後に施用していただくことによって、土壌消毒を行った効果をよりいっそう高める目的で使っていただく」ことを提案している。極めて謙虚な言葉だけに、信頼されるのではないかと思われる。
総合防除が謳われているが、普通肥料にバチルス菌を活用している例は少なく、かつ粒状タイプにもっていったのは本製品が初めてではないか。一般的に微生物は熱に弱いと言われているが、バチルス菌は熱に強い。耐熱性芽胞を使った本製品が、反響を呼ぶのは必至と思われる。
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対照区に比べ、ビオンS888区では欠株が少なく、生育が揃っている |
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