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米国デュポン社で創成され、日本で選抜・開発されたわが国初のスルホニルウレア(SU)系除草剤ベンスルフロンメチル(日植調試験コード:DPX−84)が20周年を迎えた。環境に優しいSU系の水稲用一発除草剤として、水田雑草防除に革命をもたらした。
本剤は、極めて低い有効成分量で、ヒエ以外の水田一年生雑草から多年生雑草に至るまで、広い処理適期幅で安定した効果を示す画期的な除草剤成分として注目を集め、関係者の英知の結集と開発努力のもとに、1987年にウルフ、プッシュ、ザーク、ゴルボを、1988年にはフジグラスをそれぞれ本格的な水稲用一発除草剤として結実させた。
以来、水稲農家の多様なニーズに対応し、1キロ粒剤、フロアブル剤、ジャンボ剤などの各種製剤や、新たな混合剤を開発・上市し続けてきている。
その間、地域によってコナギ、オモダカ、アゼナ、イヌホタルイなどのSU抵抗性雑草が発現するという問題にも直面したが、抵抗性雑草にも対処できる混合剤の品揃えに加え、さらに難防除雑草への本剤のもつ類い希な高い効果が支持され、現在でもベンスルフロンメチルを含有する水稲用一発除草剤は、日本の水田面積の約60%に普及している。
いま、日本におけるデュポン社はベンスルフロンメチルにおいて、発売20周年記念事業を展開している。改めてベンスルフロンメチルおよびその混合剤の普及・充実をはかるとともに、『水田雑草図鑑』の発刊・配布、そして、24日には都内に業界関係者約100名を集め20周年記念パーティを開催した。
特に、「図鑑」はわが国における水田雑草を系統だってほぼ網羅しており、監修した日植調および制作した全農教に対して拍手を送りたい(写真参照)。
【解説】
わが国における水田雑草防除に、革命をもたらしたベンスルフロンメチル。革命はどこにあったのか。
SU剤登場以前に、クサカリン、オーザなどの水田用一発除草剤(体系是正剤)は上市されていたが、これらはミズガヤツリなどの多年生雑草の多発田使用をさける、田植え後5〜7日までに処理するなどの注意が必要だった。
SU一発剤が登場したことにより、これらの問題を一挙に解決し、本格的な水稲用一発除草剤としての完成にいたり、水稲用除草剤の歴史を大きくひるがえすことになったことが革命(第一次革命)と本紙では見る。
現在、農薬のトータル的な有効成分数の削減が希求されている。水田雑草防除では、ヒエおよび広葉雑草を1有効成分で防除しようとする考え方で開発が進んでおり(第2次革命)、ダウ、住化武田農薬、クミ化、バイエルなどがその最先端にいる。
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