(株)エス・ディー・エス バイオテック(白井孝社長、本社:東京都中央区、以下「SDS」)は10月16日、(株)トクヤマ(中原茂明社長、本社:山口県周南市)から、同社が開発・製造・販売している水稲用除草剤「テニルクロール」を9月30日付けで、SDSが譲受けることで、合意に達したと発表した。
「テニルクロール」は低薬量で、水稲栽培の重要雑草であるノビエならびにコナギなどの一年生広葉雑草に対して幅広く効果を発揮する、酸アミド系に分類される水稲用除草剤として、トクヤマが1993年に農薬登録を取得・上市し、一発除草剤の需要の広がりとともに普及面積を伸長させ、現在では、18剤におよぶ農薬登録を保有している。
SDSは、水稲用除草剤事業において、中軸的製品である「ダイムロン」、2001年4月に登録・上市した自社開発の水稲用除草剤「ベンゾビシクロン」、ならびに同年6月に旧・永光化成より譲受けた「カフェンストロール」の3原体を保有し、同分野での積極的な事業展開を行ってきている。
今回の「テニルクロール」の譲受けにより、一発剤分野にとどまることなく、さらにノビエ防除を基軸とした初期剤分野を拡充させ、水稲用除草剤事業のいっそうの拡大が見込まれる。体力をつけてきているとの、印象だ。
【解説】
10月1日、新生「三共アグロ」が誕生した。表面的には、三井化学クロップライフと三共アグロの統合と見られるが、実質的には、第一グループの「住友化学」(住友・武田連合)に挑戦する第二グループの新生「三井化学」(三井・三共連合)の姿が浮き彫りとなた。勿論、第3グループの創成も水面下では進んでいる。
いっぽう、外資がわが国に本格的に上陸したのは、1981年のことで、ボリュームのある研究開発力で日本農業に貢献してきたが、当時11社あったメーカーが現在では半減していることも事実。研究開発への投資がなかなか難しくなってきた。
この中にあって、SDSの今回の積極的な取組みは高く評価できるのではないかと思われる。「テニルクロール」は初期剤をカバーするもので、経済的なメリットも大きい。
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