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新社長の
ピーター・サイクス氏
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ダウ・ケミカル日本(株)(本社:東京都品川区)は2月26日、東京都千代田区の帝国ホテルにおいて、1月に新たに社長に就任したピーター・サイクス氏(47歳)の披露宴を行った。業界関係者約330名が参加。
ダウ日本および韓国の社長に就任したサイクス氏は、「身に余る大役だが、専心努力しダウおよび日本の成長のために貢献していきたい」と、所信を表明した。前社長の神永剛氏は、ダウ・ケミカル日本取締役相談役に就任し、主に新規事業開発に携わる。
ダウ・ケミカルは、米国ミシガン州に本社を置く世界最大の石油化学品メーカー。世界160か国でグローバルに事業活動を展開しており、年間売上高は540億ドルに達する。従業員数は4万6000人で、世界37か国・156か所の製造拠点で生産に従事している。
同社は、創業110年を超える世界的なグローバル企業だが、アジア太平洋地域への進出は、1950年代の初頭から。投資の皮切りは、日本の旭化成との合弁事業だった。特筆したいのは、ダウは、73年に東京証券取引所に上場した最初の外国企業であること。
ダウ日本は、現在、約20億ドル(約2100億円)の年間売上高を確保し、ダウの世界戦略に大きく貢献している。従業員数は、約1000人。日本および世界中の人びとの生活の質的向上のために、精力的なビジネスを展開している。
そのポリシーには、「科学と技術の力を活用して、経済、環境、社会における優先事項のバランスを考慮していく」があり、幅広く重厚な消費財や工業製品を市場に送りだしている。
サイクス氏は、ダウでの勤続は26年。ダウ・ケミカル日本の社長を務めるとともに、ダウのグローバルな自動車事業部門のトップも兼任する。
《ピーター・サイクス氏の略歴》
1960年11月17日、英国生まれ。米国スタンフォード大学大学院卒。81年ダウ英国入社。日本を含む国々で財務、機能製品事業などで経験を積んだ後、96年にダウ・ケミカル・タイ社長およびダウとサイアムセメント・グループによる合弁会社の社長に就任。04年からはダウのアジア太平洋地域プラスチック事業を担当。06年にダウ・ケミカル・パシフィック、基礎および機能プラスチック事業担当副社長に就任。07年4月にグローバル オートモーティブ プレジデント。08年1月よりダウ・ケミカル日本代表取締役社長兼任。 |
◆自社原体への集中と直販強化 ダウのアグリビジネス戦略
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1成分でノビエと
広葉を同時防除
(「ワイドアタック」
製品写真)
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「ノビエをはじめ、主要な広葉雑草やカヤツリグサ科雑草まで、同時防除することができる。特別栽培米などを中心に有効成分数の削減が求められており、ダウ研究陣はこのニーズに全面的に対応した」。
ダウ・ケミカル日本(株)・ダウ・アグロサイエンス事業部門は2月5日、新規水稲用除草剤『ワイドアタックSC』(有効成分:ペノキススラム)の3月中旬からの上市を明らかにした(本紙既報)。前記は、山本伸吾ビジネスディベロップメント部長の談話。
生産現場では、農薬の有効成分数の削減が求められている。「ワイドアタック」は、1成分でノビエと広葉を同時防除する水稲用除草剤のなかで、中後期除草剤に位置づけられる。この分野では、協友アグリが先行し石原産業、クミアイ化学、住友化学、日産化学が開発・登録に向け挑んでいる。
ダウの直近の開発製品には、他に「ファルコンエース」(園芸殺虫剤)、「ワークワイド」(同)、「アスパイア」(園芸殺菌剤)などがある。
現在、同社のアグリビジネスは、年間売上高で160億円に成長している。この隆盛を支えているものは、「自社原体製品への販売の集中と直販強化」(野沢雅人アグロ営業本部長)につきるのではないか。「代理店やフォーミュレーターとの連携をいっそう強め、日本農業の成長に寄与していく」(同)ことで、数年後の売上高300億円を目指している。 |