長野県田中知事再選にひとこと
誰がなっても大変だといわれていた長野県知事選挙で田中康夫氏が大差で当選し、9月5日県庁に登庁した。市民の目線に立ち県政を行うと挨拶したテレビニュースが報じられた。長野を「夜明け前」に戻すな。文豪藤村の題名をうまく演説に取り入れて勝った。
2ヶ月前県議会が田中知事不信任案を出した時、共産党だけが賛成に加わらなかった。知事選挙では背後で共産党がフルに活躍し、一般市民が田中氏を支えたのではないか。一方の有力候補の弁護士長谷川氏は、背後に自民党と民主党を中心とした県議会の既成勢力がある。あとから公明党も応援に回った。知事としての資質より、人気期待のIQが高いだけの女性候補がお神輿として担がれ、田中氏に勝たせたくない選挙戦を展開した。ある長野の友人は長谷川候補の選挙陣営に頼まれてボランティアに参加した。投票依頼の電話をかけまくり、選挙運動員のため炊き出しに協力する。しかし、一日が終わって帰宅の道すがら、ボランティア仲間同士が、あんな候補には入れないよねとささやき合っていたという。一方亭主の方も、営業に回る度に企業からの長谷川候補支援のプレッシャーがあったが投票しなかったという。つまり、心と体はべつもの。長野は羽田元首相の地盤である。現在は民主党の特別代表であれば、民主党が田中氏を推薦してもよさそうなのに、しない。自民党と民主党がぐるになって県政会という長野県の既成勢力を作っている、談合型の既成勢力である。
日本の一般市民は、生活はこれから悪くなると感じている。借金してまで大型ダムを作るよりも、今の生活水準をともかく維持して、県の借金を減らしたい、増税は困ると考えている。日常生活は消極的な満足感に浸っている。無駄な投資はしてくれるな。だから、田中氏が説く、ゆっくりした緑による治水対策の方を県民は選んだともいえる。
長野県だけでなく、日本全国の市町村の立場も同じ。中央政府の政策に従い地元負担を増やして公共事業を受け入れたが、結果は過疎化と経済不況と借金だけが残っている。既成勢力の手法とその復活よりも、県民は未知の改革を選択した。日本全国に長野化が起きるかも知れず、長野の選挙が注目されたのだ。住民の心は右肩上がりの矢印を見るよりも、左の過去の罫線に注目するようになっている。JAは既成勢力と見られている。JA全農長野も県民益になるのかと田中知事のコメントがあった。農家組合員の自主組織として活き活きと活動しなければならない。その芽は十分にある。JAの組織が肥大化するのは問題の先送りでなければよいが・・・。(金右衛門)