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コラム
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反射鏡
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販の工夫を
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生活面はさておき、農家の生産活動面での農協とのかかわりを見てみよう。地域性や生産物などに大きく左右されるので、大雑把な捉え方となるのはご容赦願いたい。
水田を中心として土地基盤の整備事業は土地改良区が荷い、財源は主に国・地方公共団体の補助金と公庫資金によっている。また、農業生産資金の多くも諸々の制度金融に依拠していると言えよう。加えて、生産技術や品種改良の分野も、農業関係の行政機関が主流としての役割を務めている。 以上の仕組みを否定する気は毛頭ない。国民食料の確保の視点からも当然のことである。 こうして見て来ると、生産物の販売にこそ、単位農協・連合会それぞれが、主体的に取り組み得る最も主要な分野と言えよう。もちろん、販売活動には加工事業が含まれることは云うまでもない。 この農協の基本活動とも云うべき販売事業で、引き起こした今回の全農等の不祥事件は、農協の信用を大きく揺るがせた大問題として、強く強く責められるべきであろう。ところが、雪印問題に比べ、新聞紙上などでの取り上げが少ないし、また軽い。自称農協マンとしては複雑な心境とならざるを得ない。農協と言う大きな組織、高い信用を得ている活動体であり、事業も販売のみならず、信用・共済にも及んでいるのである。その農協の犯した問題である。雪印には申し訳ないが、一食品会社の惹起した事件ではない。 本稿ではこの程度に留め、農産物の販売について、都市住民の立場からささやかなコメントをこころみたい。 米が圧倒的な主食の時代は、とうの昔に去ったとみるべきであろう。むしろ“おかず”にウエイトがおかれているとも言えよう。少なくともおかず・お米を組み合わせて、“食”を楽しむ時代なのである。農協が全国各地で取扱っている特産物は多い。これを大きく紹介し、定期的に食卓に供し、ささやかなではあるが、販売促進の一助と出来ぬものだろうか。それでこそ、銘柄米も生きてくると言うものである。 全国各地で、様々な工夫と努力で、農産物販売活動が多様に展開されていよう。そのことを承知のうえでの、都市生活者のつぶやきである。(藤塚捨雄) |