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コラム
反射鏡

反米から脱皮し、真の独立を

 当コラムは、日本国内に設けられた柵上から柵内(農協組織)を眺めて、一言申し上げることを筆の本旨としている。ところが昨年来、世の中はイラク進攻・北朝鮮問題など、何かと国際づいている。そこで、海の向こうにも視野を広げて論じてみたい。国際問題といえば、米国を抜きにして、対外問題は論じ得ぬと言っても、さほどの叱責は受けまい。そこで、米国と日本の関係を、紙面の関係からほんのちょっぴりと触れてみたい。
 小生の心は、親米(尊米)と反米の間を行きつ戻りつ悩みと迷いに揺れ動いている。戦後の占領時代から今日にいたる間、物の見事に日本を羊国家に仕立て上げた米国。国内各地に見られる広大な米軍基地とゴルフコースすら併せ持つ軍人住宅地。米国基準に組み込まれた電子ならびに金融システム。わが身は、反米に走らざるを得ない状況である。また、ブッシュ体制の政策と好戦的イメージと経済・金融不況も手伝い、マスコミのあおりもあり、世を挙げて反米ムードが支配的になりつつある。
 だが、「ちょっと待てよ」ともいいたい。問題は反米の心理が日米対等の発想からでなく、欧米への劣等感、特に戦後培われた米国への甘え、からきている面が強いのではなかろうか。
 残念ながら米国から見習うべきことは、驚くほど多い。最近の経済政策の徹底度とスピード感を日米両政府で比較すると、その差異はあまりにも明白である。米国の優れた点とその根源を追求することも重要であろう。そのうえでの米国批判でありたいと思う。
 小生、滞米中農村を中心に多くの家庭を訪問した。強く感じたのは勤労への尊重度の日米間の差である。特に家庭内で働き手(家父長)の地位の高さと、彼への尊敬である。夕食時には家父長を中心に、家族そろって神の恵みと勤労へ感謝の祈りをささげ、そのうえで食器を手にする。勤労=生産活動=農業重視に他ならない。戦前の日本家庭の美風を、残念ながら敵地で見出したのである。
 ついで目についたのが、地域社会のまとまりである。地域の利益と治安を如何に守るか、そこからくる地域への奉仕活動の尊重、教会を軸とした活動、これらもまた、戦前日本の強さの一因でもあったのだが・・・。
 トータルとしては国の独立、地域の独自性、個々人の自立、そのための自力解決の意識である。ここが現在の日本との最大の差異であろう。それは戦後の米国統治政策の結果だと、千万遍の泣き言を繰り返しても始まらない。国・地域・個人の自立を回復し、戦後の米国統治政策を無に帰せしめたいものである。
 筆が走りすぎてしまったが、強調したいのは、“今日の国と農協の関係は、まさしく米国と日本の関係に等しい”ことである。農協はどんな日本農業と農村社会を構築するのか、自らの方針を確立し、それを内外に明確に示すべきである。そのうえで対等・自立を基本に、行政と対応すべきではなかろうか。(藤塚捨雄)


農業協同組合新聞(社団法人農協協会)
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