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コラム
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反射鏡
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観光立国懇談会発足に関連して
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政策検討のための懇談会・審議会流行である。隠れ蓑とか丸投げなら困るが、十分に機能してくれるなら、民意の反映の場としても結構だと思う。今回、新たに観光立国懇談会なるものが発足したようだ。設立の趣旨には“国際交流の増進、我が国経済の活性化の観点云々”とあるものの、日本人の海外旅行に比べ、外国人観光客の訪日の圧倒的な低さが、その設立動機の主因との印象が強い。
懇談会開催の趣旨の流れ、第1回懇談会提出資料(我が国の観光の現状)の内容、検討メンバーの顔ぶれを見て、2点の問題点を感じざるを得なかった。本来なら、今後の検討の動きを見た上で、論ずべきこととは思うが、答申にいたるまでにほぼ半年は要すると思われるので、先行して申し述べておきたい。 第1の問題点は、強調度を高めた次の2点の問題提起である。(1)訪日外国人旅行者数は、日本人海外旅行者数の約4分の1、(2)国際旅行収支は約3.5兆円の赤字。国内観光の諸々の課題を反映した結果数値として、提起されているものと思いたいが、正直なところ、国際競争重視と経済的視点の先行を感じざるを得ない。 国内旅行低迷の要因は多々あろう。旅館など宿泊業がその際たるものであるが、観光業界の経営感覚のどうしようもない古さに、その主因が求められよう。旅館と変わらぬ民宿、人頭税的な宿泊代金などキリが無いので、個々の事例列挙は省略する。彼らの自己改革なくして、行政サイドの努力は賽の河原である。 第2の問題点は選出された懇談会メンバーの顔ぶれ。小生の感覚のニブサによるならよいが、その顔ぶれからは、ローカルの香りをかげないのである。観光立国のための議論は、旧態依然の観光業界の延長線上では駄目なのである。生きた自然につつまれ、草の息吹と土の香りが、観光立国の大きな柱にならねばと考えるのだが…。そこで農山漁村の関係者がなぜ選ばれないのか、不思議である。これでは懇談の方向にも、期待が持ち得ないというものである。 農山村で行われている地道な観光活動の芽生えが、多くなったとの話である。残念ながらそのニュースは、なかなか伝わらない。 |