農業協同組合新聞 JACOM
   

コラム
反射鏡

政治のタブー視はもうやめよう。
―政治を素直に話し合うことが政治改革の第1歩―


 制度内容も審議も不十分なまま強行採決された年金法案。自衛隊のイラン派遣、それも議論不在のままの多国籍軍化容認。かけ声と勝手な自己評価のみ先行して、実績の伴わない構造改革。“人生いろいろ、会社もいろいろ”に代表される小泉首相のお粗末・無責任発言。などなど争点と追及課題の山積する中で行われた参議院議員選挙。小生の期待通りとはいかなかったが、ほぼ民意を反映した結果に終わったといえよう。あるいは従来になく時代の流れというか、潮流の変化が表に出た選挙であったような気もする。そこで今回の選挙と、その前後の政治の動きで感じた所を素直に述べてみたい。

◆政治参加はもっとオープンに

 いろんな友人・知人に投票の前後、「誰に、何党に、入れるのか」と尋ねた。明確な回答はほとんどなく、対応はあいまいそのもの。中にはプライバシーの侵害、それこそ心外と言った反応も少なくなかった。少数ではあるが存在する旗幟鮮明な人には聞いていないので、あるいは当然の反応といえるかもしれない。
 それにしてもおかしなことだと思う。官憲が選挙干渉する時代でもあるまいし、友人達は特定の企業内で、何らかの締め付けを受けているわけでもない。投票(政治)とはそんなにそっとしておかなきゃいかんものだろうか。投票行動、政党支持を話し合うことが、タブー視されているような気がしてならなかった。政治はお上のエライ人がやること、我々シモジモは近づいてはいけないとの発想が、まだ根強く残っているのであろうか。主権在民が本当に根付いていれば、投票結果や支持政党について、もっとオープンになれるのでなかろうか。

◆参院選挙を受けて

 端的には、安倍・青木両氏の留任・昇格にみられる自民党の無反省ぶりが、強がりから来ているものと願っている。もし、ほんとうに大敗北を意識していないとしたら、この政党は完全に賞味期限の切れた老醜団体そのものでしかない。小生、自民党は好きではない。といって消え去って欲しいと願っているわけではない。再生して欲しいのである。何故なら、今こそ政権担当可能な二大政党の切磋琢磨が、日本には必要と考えているからである。
 少数政党が一定のキャスティングボートを握る中で、自民・民主両党が相争う形が、当面の望ましい姿であろう。したがって、もっと少数政党の存在を高める措置も必要である。党首討論から締め出したり、質問時間の短縮など論外である。あるいは一定以上の投票獲得政党には自動的に一定議席を与えるとかの工夫なども。
 民主党には本当に政権獲得の意識があるのか疑問を消しきれない。例の三党合意とか(社民・共産をどう考えているのか)、新代表の臨時国会初日の米国民主党大会傍聴など理解に苦しんでいる。まして、テレビ朝日「たけしのTVタックル」への民主党若手代議士の出演と、そのはしゃぎぶりは、何をかいわんやである。1日もはやく投票し甲斐のある政党に成長してもらいたいものである。
 何にましても小生の期待を大きく裏切り、低迷の度を深めているのが、選挙の結果でも明らかなように共産党である。選挙の敗北を受けて委員長の「国民の理解が得られなかった」の発言。これをどう理解するかである。国民のレベルが、わが党の政策を理解するところまで来ていないと聞こえるのである。そこにやりきれない傲慢さを感じてしまうのである。同党に関係する小生の友人は多い。その誰もが常識に富み、人格円満、識見に優れ、尊敬に値する人たちである。ところが党のレベルとなるとむしろ非常識さが押し出されて来る感じである。この大きな乖離がどこから来るのか、小生には不可解である。また残念である。
 政治はタブー視されてはならない。政治の貧困からの脱出は、政治を素直に話し合うことからと考え、あえて浅薄な評論をさせていただいた次第である。 (藤塚捨雄)

(2004.8.17)

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