農業協同組合新聞 JACOM
 
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コラム
反射鏡

農協共済に思うこと(続)
―調査研究活動の強化を―


◆地味なれど大切な共済・保険

 我が家はたて続けに自動車のトラブルに見舞われた。一つは軽微な車両事故、当方の過失はゼロ。されど相手方も、過失割合100%を素直には受け入れず未解決のまま。今ひとつは盗難未遂の車体破壊。我が家の車庫のスペースは1台分、そこで2台目は少し離れた貸し駐車場を使用。それがやられてしまった。聞くところによると自動車の盗難は頻発しているとのことで、嫌な時代になったものである。ともあれ、自動車保険のお世話になり、共済・保険の存在価値の大きさを改めて知らされた次第である。(購入や居住地の関係から損保を利用している。悪しからず)
 農協共済は本来は地味な存在である。事故が発生して初めてその重要度が認識される。日常活動では関心も低く、したがって批判・意見も少ないのではと推量している。そこで前号に引き続き、農協共済についてのやや辛口コメントで、いささかなりとも関心の度を高めたいと思っている。

◆組織統合の成果は調査研究活動に

 農協共済は組織統合後、すでに4年余が経過している。そろそろ統合成果について、議論が始められても良い頃合だと思う。そこで統合効果の早期発揮が比較的に容易とされた調査研究活動を見てみたい。
 激動の21世紀に対応するに、広範な調査研究活動の重要性は、何人も否定はすまい。とくに、激変度が高いとされる農村を基盤とする農協共済にあってはなおさらである。その調査研究活動レベルは、農協共済総合研究所(以下、共済総研)の体制整備と活動状況に集約されると考えられる。
 そこで、共済総研を見つめてみよう。残念ながら統合後も、トータルとしては存在意義に疑問を持たざるを得ない体制・活動に低迷している。
 まずは全研究員数である。10月11日現在のホームページによると30名とある。共済総研10年史では28名(平成13年と推定)で、変化なしに等しい。外部のエキスパートの補強にポイントを置いたとも聞いていないので、体制は強化されているとはいい難い。
 次いで、研究機関の活動実態を示すバロメーターと言われる定期刊行物である。その基本とも言うべき「共済総合研究」が統合後の何時の日からか、発行頻度を低めてしまったのである。分厚くなった分、読み難くもなった。
 かつて好評だった公開シンポジウムも、この数年開催したのかどうか、話は伝わって来ない。
 列挙すればきりがない。最後にホームページのレベルの低さを指摘しておきたい。直接の競合相手である生保(日生、第一生、住生)の各研究機関のホームページとは、比較のしようもない格差がある。実際にご覧になっていただければ一目瞭然である。活動水準の差が明白に出ている。またメンテナンスにも疑問を持たざるを得ない。中味は省くが、早速手配されたが良かろう。

◆内外に人材を求めて活動の充実を

 最後に、官庁からの人事導入についても、話題になっているようである。研究機関は広く外部に人材を求めることが基本である。官庁から来ようが、金融機関や一般企業であれ、その人が有能で適任でさえあれば良いのではないか。さらに広く有能の士を求めるべきである。そして骨を埋める覚悟で、全力投球してもらえればいいだけの話である。瑣末の論議より、研究活動そのものの充実を図ることである。共済事業としては唯一の本格的な研究機関にふさわしい役割、農協共済発展のパイオニアたらんことを念じて止まない。いろいろと犠牲を払いつつ実現した組織統合である。その結実の第一歩は、調査研究活動に表れるべきだと確信している。奮闘を祈るや切。(藤塚捨雄)

(2004.10.22)

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