農業協同組合新聞 JACOM
   

コラム
反射鏡

○○審議会・△△委員会を捨てて改革の第一歩を

 数度にわたる台風の本土縦断、新潟県中越地震など、日本列島が自然災害による甚大な被害に見舞われた平成16年。その駄目押しのように、インド洋沿岸諸国には大津波の来襲である。日本人の犠牲者は30名前後とのことであるが、地域全体では15万人を越すといわれる死者。さらに感染症の蔓延いかんによっては、その増大が懸念されている。人命のみならず、家屋の流出など被災地は壊滅的な打撃にあえいでいるという。
 世界各国から救援の手が差し伸べられ、被災国支援緊急首脳会議も開催されている。復興対策の早急にして万全な実行を心から祈念するところである。

◆空砲続出の身近な改革

 ともあれ、昨年は全世界的に政治的にも社会的にも、思わしくないことのあまりにも多い年であった。わが国も今年こそは失われた10数年を取り戻し、改革と創造の展開に明け暮れてもらいたいものである。
 さはさりながら、昨年から引きずられ、年明け早々から前途多難を思わせる事柄が続出しているようである。政治経済問題はさておき、まずは身近な茶の間・井戸端談義的なものを取り上げてみよう。
 ○まずは大相撲。ともかく九州場所の空席はひどすぎた。打ち出し時間の改善などの抜本的な対策を何ら講じぬままに、初場所を迎えることとなる。響いてくるのは精神訓話のみである。
 横綱審議会では日本人横綱切望から、12勝3敗の魁皇の横綱推挙論が渦巻いたと伝えられる。もしこれが本当なら、審議会の機能を放棄したと言われても致し方あるまい。そもそもこの審議会そのものの必要性が疑問である。
 ○ストまでうたざるを得なかったプロ野球。結果は、新設と買収の形でパ・リーグに2球団が新風を吹き込んだに過ぎない。そこにいたるまで暗部と恥部をさらけだしたが、基本的な解決の展望は示されていない。岩隈問題に見られる球団の姿勢、何の変化も見せなかったドラフト会議。存在価値ゼロに等しいコミッショナーやプロ野球実行委員会を、どう改善しようとしているのか、無用の組織・会議体の数を重ねても解決に至るまい。
 ○ともかく醜態だったのはNHK、なかんずく海老沢会長である。1月6日の記者会見でようやく時期未定の引責辞任を示唆したようであるが、あまりにも遅すぎる。それにしても年末の特番での海老沢会長の対応はお粗末の一言であった。何らの解決策をも示し得ず、改善への取り組み努力の表明、いわば空砲の連発である。視聴率不払い抗議を一段と促進させてしまったのではなかろうか。NHK経営委員会からの出席者もひどすぎた。本人の問題はさておき、経営委員会なるものの実態を如実に暴露してくれた。その功績たるや大とせねばなるまい。基本的には、経営委員会そのものの存在意義が問われねばなるまい。

 挙げたてればキリがないのでここらで打ちとめたい。共通しているのは、何れも、第三者的な顔をした擁護者のバックアップ組織をもっていることである。このことはそのまま行政等にもあてはまる。○○審議会と称する御用機関がいかに改革を妨げていることか。(藤塚捨雄)

(2005.1.28)

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