最近おりにふれ「コンプライアンス」という言葉が聞かれますが、その意味や内容、さらにこれが重要視されるに至った経過などはいろいろなところで紹介されていますから皆さまも良くご存知のことでしよう。簡単におさらいすれば
(1)「コンプライアンス」は「法令等遵守」と訳され、関係する法令などを守って行動することであること
(2)守らなければならないのは、法令だけでなく「社会規範や倫理」さらにはその団体や組織での内部規定も含まれること
(3)その背景となったのは、バブル崩壊をきっかけに発生した多くの不祥事の裏に、倫理の欠如、法令違反があったこと
(4)そこでその必要性が再認識され、行政庁もこれを重大な課題として捉え、いろいろな指導が行なわれることとなった
といったことです。
「コンプライアンス」とは「常識的なことを常識的に行なうこと」ともいえます。改めてこれが重大事となることのほうが異常といえるような気もしますが、JA共済も例外ではなく、業務全般にコンプライアンスの徹底が求められており、その内容は多岐にわたっています。そこで組合員・利用者の皆さまとの関係でもっとも身近な共済推進に関し、JAの担当者はどんな点に留意しているのか、主なものについて2回に分けて説明します。
1.勧誘方針の説明と職員証等の携行
推進をする場合、お客様に求められたら、共済推進の方針(勧誘方針)を説明することが必要です。勧誘方針というのは(1)お客様の目的、立場、意向にそった勧誘と情報提供をすること(2)共済の仕組の内容について、重要な事項を充分理解して貰うよう努めること(3)その他お客様の誤解を招くような説明はしないことなどで、「JAや担当者の目標達成のため」とかではありません。
それと、最近は詐欺同然の悪徳商法も多いことから、お客様に求められたら、JA職員であることを証明するもの(職員証や名刺)を見せることも必要とされています。
2.お客様の生活を配慮した推進活動
俗に「夜討ち朝駆け」というような、早朝や夜遅くのアポイントを取らない訪問、同じく早朝や夜遅くの電話、帰ってくれと言われても居座って動かないといった、お客様の生活や意向を無視した推進は禁じられています。
3.面接しない契約申込み、無断名義借り契約・架空契約の禁止
生命共済契約の場合、契約者の申込みをJAが承諾することによって成立する諾成契約です。また契約者と被共済者が別の人であれば、被共済者の同意が必要です。それをしないと契約は成立しないことになってしまいますから、契約する時、JAは必ず契約者と被共済者に直接面接して、その人の意思を確認します。さらにはきちんと面接することによって「実在しない人を被共済者とする架空契約」「被共済者の意思を確認しない無断名義借り契約」といった違法契約も防いでいます。建物共済では、共済に加入する建物を確認する現物確認、自動車共済では現車確認があります。
4.印鑑の預かりや代筆
共済に加入する時は、契約者の方に申込書に必要事項を記入して頂き、押印を貰うのが原則です。契約申込書の内容は結構細かい事柄や専門的な言葉もありますから、内容を確認しながらJAの担当者に記入して貰う場合もありますが、とくに契約者氏名、被共済者氏名、告知書の自署欄は、必ず本人の自署・押印となっています。面倒くさいからといって、JAの担当者に氏名を代筆させたり、印鑑を預けてしまったりするのは禁物です。JAの担当者も人間ですから、ミスをすることもあります。またお互い勘違いすることもあり得ます。場合によっては契約が無効になることもあります。また、最近は特約などの種類も多いことから、自分の意思とは違う内容であったりしかねません。後日のトラブルを避けるためにも、最後にもう一度全体の記載内容を確認してください。
5.重要事項の説明
共済の内容は、約款が大変分厚くできていることを見てもお分かりのように、非常に細かく、多岐にわたっています。専門的な言葉も多くありますから、普段こういった文章になれていないと、一度や二度読んだだけでは、正確な意味は理解し難いものです。また、約款を自分ですみからすみまで読むのもたいへんです。そこで、JAの担当者は重要な事項(特に共済金が支払われないケースなど、契約者・被共済者にとって不利益になる場合)については、説明することとしています。めんどくさいからとか、聞いても良く分らないからなどといって上の空にはならないで下さい。
6.告知義務違反
御存知のように共済契約には「告知義務」があります。例えば生命共済で被共済者が過去に罹った病気などで、病気によっては契約をお断りする場合もあります。もしこれについての告知がないと、後々契約が解除されたり、事故があった時に共済金が支払われない場合もあります。非常に大事な事柄ですが、契約を取りたい一心のJAの担当者が「それは聞かなかったことにする。いわないでいいです」などということは堅く禁止されています。
(続 く) (2004.1.15)