農業協同組合新聞 JACOM
   

コラム
つくば山麓 野良だより

黄金色に、頭を垂れる季節!

 関東地方では米作りは年1度!だから大ベテランでも一生にせいぜい50〜60回。昨日、今日始めた新前(新米)でも年に1度しか経験できない嬉しい稲刈りの季節がやってきた。稲穂が日に日に黄色く色づき、頭を垂れる姿を眺めるのは、半年間手塩にかけた子ども同然、可愛くて仕方ない!安くなる一方の米作りとはいえ、我が家では頼もしい「稼ぎ頭」である。
 今回の野良だよりは10月1日に近隣3町村が合併し、新しく“桜川市”誕生を控え、大和村最後の村議会に臨んでいる夫に代わり、妻の万代(まさよ)がお便りさせていただきます。

◆天高く、馬も私も肥える秋!

 残暑が厳しい日が続いても、9月になると朝夕はめっきり涼しくなり、空の高さも青さも秋めいて来ています。田んぼのあぜ草はきれいに刈られて、重くなった稲穂が黄金色に垂れ下がっています。毎年のことながら、取り入れ前のこの景色は“よくここまで実ってくれたね…”という感謝の気持ちと収穫への期待とでわくわくとした気持ちが胸の底から湧いてきます。台風14号が近づいて来ていますが、無事に稲刈りが終わりますように!
 さて我が家では、この夏の終わりに2人の娘がほぼ同時に結婚し、慌ただしくもおめでたい日々が続きました。長女は28歳。23歳の息子をはさんで次女は20歳。二人の伴侶とも身の丈180cm、体重90kgを超える堂々たる体格で、労せずして私には一挙にたくましい2人の息子が増えたわけです。その息子達にはそれぞれ2人のご両親がいて、またまた4人の親しい方が増えたのです。近くに嫁いだ娘達は、入れ替わり立ち替わり我が家に来てくれて、それはそれは賑やかな毎日です。
 「今度合併する3町村の未婚の跡取り息子をずーっと大型バスに乗せて集めたら、何台になるかねえ?」大和村最大の観光スポット、安産・子育てで有名な雨引観音の野菜直売所当番の時、隣村から来たという男性との話です。「いい息子(?)ほど結婚できない。親のこと、家のことなど考えて何が何でも結婚しちゃうという無謀さがない!」というわけです。「今のご時世、他人に勧められた結婚をしても、なかなかうまくいかないし、本人が相手を見つけて“勢い”で結婚しないとダメだ!」という結論でした。
 特に農家の跡取り息子の結婚問題というのは大和村に限らず、全国的な問題です。だとしたら、どうしたら良いのでしょうね? 我が息子には農業に取り組んでいる自信と誇りを持って、スポーツで鍛えた身体、将棋や麻雀・パチスロが得意で先を読む力があることに自信を持って、是非とも良き伴侶に巡り会って結婚して欲しいものです。そして私達親は健康に気を付けて、できる限り二人で自立していけるように…頑張らなくちゃ!ですね。しかし、その前提に農業と食べ物が大切にされる日本、農業でやっていける日本であることを求めていかなくては…課題は大きいのです。(茨城県大和村在住 農業 野沢 博)

(2005.9.7)

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