農業協同組合新聞 JACOM
   

コラム 昔々その 昔

春が来た
挿絵: 種田英幸
文: 種田庸宥 日本福祉大学客員教授


春が来た

文部省唱歌
春が来た 春が来た どこに来た
山に来た 里に来た 野にも来た

花がさく 花がさく どこにさく
山にさく 里にさく 野にもさく

鳥がなく 鳥がなく どこでなく
山でなく 里でなく 野でもなく
(「尋常小学校読本唱歌」明43)



桃の花酒

 昔そうな。七間(ななま)の奥にお姫さんがおったと。そのお姫さんが、このごろ毎晩若い侍が遊びに来てどんならんと言うた。親がよく聞くと毎晩来ると言う。それではその者をいましめてやろうということになって、おだまきの糸を出して縫物針を通して括り、「今晩来たら頭のわげに刺せ」と言うておいた。
 ところがその晩も侍が来たので、お姫さんは言われたとおり侍のわげに針を刺しておいた。
 朝になって糸の跡を見に行ったら、山の上の大きな岩の間の洞穴に糸を引っ張りこんどる。これは化物に違いないと思い、はたでようすを確かめると中で話声が聞こえる。親の声らしく「お前は悪いことをしてえらい目に会うた。もう助かるまい」と言いよる。「人間はえらいもんぞ、黒金を立てられたら命はないぞ」と意見しよる。「お母さん、もう命は棄ててもかまん。思いは遂げた。あとへ自分の代わりの子供をこっしゃえて来た」と言いよる。「あほらしいことを言うな。三月の節句に桃の花酒を食べたら桃のあくが子を流してしまう。そうすれば何ちゃにならんぞ」と言いよる。これを聞いてもどって来て、「おい、あれは大きな蛇じゃ。桃の花酒をお姫さまに飲まさなならぬ」と言うて、三月節句に飲ませたら蛇子をうじゃうじゃとようけ産んだといや。もうなししゃんしゃん。
(採話 宮本虎吉 香川県志々島昔話集)

春が来た

 皆さんも歌った百年前の唱歌。本当に「春が来た」と思わされる歌ですね。
 「桃の花酒」は、瀬戸内海の志々島を行商して歩いた人が残した蛇の話です。
 「春野町消防団長、種田英幸さんが、県勢功労賞を受けられました。消防団活動40年、消防施設整備や機動力強化を強く推進し、訓練の拡充にも尽力、住民の安全を守るため活躍されました。おめでとうございます」(高知県春野町公報)

 毎日10時間以上、田畑で働きながら、消防団活動を続ける画家英幸さんは、今月は高知市の「横山隆一記念まんが館」で2月26日〜3月12日まで展覧会を開いています。本紙の原画も出品されます。

(2005.4.7)

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