月月火水(縄とび遊び)
月月火水 木金金曜日
山風 そよ吹けば
さくらの いずこずえ
ピーヒョロ ピーヒョロ かんがえし
お前の好きな 提灯は
われらに追われて トッピンシャン
ソレはいれよ はいれよ 出よ 出よ
(奈良)
笑う狐
山奥の小さな峠で、おじいさんが孫娘と茶店をやっていました。
峠にも春が来て、桜が満開になったある日、身なりのりっぱな、旅のお侍が通りかかりました。
「これ娘ご、茶を一ぱい所望じゃ」
と、侍はいばって、店先に座りました。
「へーい」
と、娘は明るい返事をしましたが、お侍の顔を見るなり、
「あれ? ちょっと変じゃなあ」
と、思いました。なんとなく、狐が化けているようなのです。はかまや刀は本物に見えますが、ほおに少し毛が残り、顔はとがって、目はつり上がったままです。
でも彼は上手に化けたつもりで、いばっているのです。
「これは狐だ!」
と、見破った娘は、おかしくておかしくてたまりません。とうとうがまんしきれなくなった娘は、水をいっぱい入れたたらいを持って、
「お侍さま、お疲れでございましょう。どうぞ、これをお使いなさいませ」
「おお、かたじけない」
お侍は、さっそく手を洗おうとうつむき、水にうつる自分の顔を見ました。
「あっ! あっ!」
狐は、そのとき、まだ化けきれていない自分の姿に気づいたのです。
狐はあわてて茶店を飛びだし、どこかへ、姿を消してしまいました。
次の日、娘が裏山へ薪をとりにいった帰り道、林の中から突然、
「娘さん、娘さん、茶店の娘さん」
と、呼ぶ者があります。でも、姿は見えません。そこで娘が、
「はい、はい」
と、返事をすると、
「娘さん、ゆうべはおかしかったね。ホホホホホホ…」
と、その人はかん高い声で笑いました。
「あっ、昨日の狐どのじゃ!」
と、娘も、その正体がすぐにわかり、
「オホホホホホホ…」
と、いっしょになって、笑い出しましたとさ。
珍しい三枚目狐
狸や狐は、昔ばなしに、いちばん多く登場する野生の動物ですね。そして、狐はほぼ悪役で登場します。珍しく、三枚目の狐を見つけたので、紹介します。
山の奥では、狐とも仲良くくらす方が楽しいことを、このお話は教えてくれます。現実には、山でも、狐は少なくなりました。簡単ではありませんが、共生するいい方法を探したいものですね。 |