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コラム 今村奈良臣の「地域農業活性化塾」 |
「農地は子孫からの預かりもの」
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「中山間貝山プロジェクト21」というグループが福島県三春町貝山地区にある。そのユニークな名前からある程度推測できると思うが、中山間地域の活性化をねらいとして平成12年に創設された中山間地域直接支払制度を有効に活用することを目的に活動している組織である。もちろん、行政の指導や関与など全くなく自発的に設立し活動している組織である。
このグループのメンバーに際立った特徴がある。代表の大内昭喜、副代表の渡辺宣夫、土地管理担当の大内宏、黒羽良市、会計担当の大内將の5人の諸君は、いずれも三春農民塾の第1期から第5期にいたる卒塾生である。この他に地区出身だが農業に関係のない企業に勤めている影山郁雄、橋本一二、中本清三、山崎寛一郎の4人が加わり9人で構成されている。卒塾生たちはいずれも町内はおろか県内きってのすぐれた農業経営者でそれぞれ多彩な農業をしている。残りの4人はこれも重機など多彩な技能の持ち主である。 この貝山地区は77戸、294ヘクタールと町内では大きい集落であるが兼業化、高齢化が著しい。中山間地域直接支払制度の協定参加者は73人。交付金は年間422万8297円。畑が多く緩傾斜地が多いので単価は低い。交付金は協定参加者への個人配分は行わず、共同取り組みのみに使用することが協定にうたわれている。 さて、この「貝山プロジェクト21」はその活動方針に、「農地は単に先祖から受け継いだ財産ではなく、子孫から借り受けているものであるから良好な状態に維持して返さなければならない」と高らかにうたっている。すばらしい思想である。そこで活動の概要を要点のみ紹介しておこう。 ◆組織活動、永続化に努力
さて、以上のような多彩な活動をすすめてきたが、その活動の成果を検討する中から、永続的組織として確固たる組織づくりへの討議がいま深められつつある。つまり、「補助金の切れ目が組織の切れ目」になってはならないという考え方である。中山間地域直接支払制度が仮に終わったとしても、組織活動は続けようとの意志である。もちろん、制度の存続を強く望んでいるが、地域の将来を考えるうえで、協定参加者を出資者とする農事組合法人、有限会社、株式会社等の確固とした組織を設立する選択肢について、いま真剣な討議が深められている。
私が三春農民塾の塾長になって、今年で満20年になるが、その卒塾生たちと彼らの地域の友人たちが、このようなすぐれた先進的な活動に胸を張って取り組んでいる姿をみて、私なりに進めてきた農民塾運動の20年は決して無駄ではなかったと改めて痛感している。 全国各地で、この「中山間貝山プロジェクト21」のような組織とその活動が拡がることを切に希望する次第である。 (2004.5.19) |
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