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コラム 今村奈良臣の「地域農業活性化塾」 |
販売革新の理論と実践
―JA―IT研で人材を増やそう― |
JA―IT研究会の公開研究会では、卸、仲卸、量販店、外食産業などのトップ・リーダーの方々をお招きして青果物流通や食品需要の動向やその激変状況などについての最新情報を聞くとともに、JA改革にとって欠くことのできない貴重な提案をいただいている。
例えば、第11回公開研究会では、(株)西友チーフバイヤーの矢吹寧男氏、(株)ワタミファーム代表取締役社長・武内智氏、(株)浅間代表取締役社長・浅間正貴氏、東京シティ青果(株)代表取締役社長・針替茂人氏、など多彩なトップ・リーダーをお招きして、これにマーケティング理論の最先端を提起している斉藤修千葉大学教授、さらにJA―IT研究会副代表の黒澤賢治JA高崎ハム常務理事、同じく副代表の吉田俊幸高崎経済大学教授を交えて、「パネルディスカッション・青果物流通の激変とJAの販売事業の展開方法」を開催した。 このパネルディスカッションのすべてを紹介できないので、JAの営農・販売事業改革についての提言の要点を紹介することにする。 まず、西友の矢吹氏は、「JAが激変する流通に対応し、販売力をつけるための具体的提案」として、「JAは4つのブランド開発を」という提案をする。4つのブランドとは、(1)JAブランド、(2)量販店対応ブランド、(3)高品質対応ブランド、(4)直売所ブランド、というものである。そのうえで、「量販店でも、顔の見える、氏素性の分かる地場野菜がさらに伸びる」と強調していた。 ワタミファームの武内氏は、「競争社会の中で、その役割をきちんと果たせるJAへの自己改革を」と強調した。そのうえで、「JAは非営利目的であるというが、継続することが永遠のテーマのはず」と述べ、「売れないのであれば、3回も4回も売りこみに行く」、「半年から1年先の契約をめざして売りこみを」などということを強調しておられた。多くのヒントが込められていると思う。 浅間社長は、「JAは、お客さん中心という理念をしっかり守って実践的な販売活動の展開を」と提案した。具体的には、「青果物は、鮮度が命で、フレッシュであれば新鮮感による安心感が生まれる」と強調し、「需要先の要望単位のパックでの出荷を」、「情報・通信のシステム化をはかって、生産から消費までの情報の共有を」、「産地からの商品企画の提案を」というような具体的提言をいただいた。 東京シティ青果の針替氏からは、「卸売が買い付けできるようになると、いるものといらないものが明確になる」と述べられたうえで、「付加価値は、市場に出しただけでは実現しない―消費起点・販売起点へ―」、「卸売市場法改正がもたらす『死に筋』と『売れ筋』の明確化」、「直販による売り掛けサイトの長期化とリスク問題の発生」など重要な視点を提示していただいた。 さらにJA―IT研究会の黒澤副代表は、「販売事業が変わらなかったら、JAの営農改革はできない」と根本課題を提起し、「地域を総合的にコーディネートするための要件整備を」、「商品だけでなく物流の共同開発の取組も」、「組合員に対し情報開示をし合意形成することの重要性」など具体的提案を行うとともに、「JA―IT研究会のなかで人材の共有をしよう」と方向性を提示した。 以上のような提案や討議を踏まえて、斉藤千葉大学教授は、「農協間、取引先との情報の共有化を」という問題を中心にJAの取り組みの基本問題を提示した。 さらに、吉田JA―IT研副代表は、以上の討議をしめくくり、「農協法、卸売市場法の社会から民法・商法の世界への転換とマーケティング」という視点から討議を総括した。 斉藤教授の基調報告やパネルディスカッションの全容は紹介できなかったが、それを知るためには「激変する青果物流通とマーケティングの実際」『農村文化運動』(176号、農文協、400円)を是非読んでいただきたい。そしてこれをテキストに営農・企画・販売の分野でグループ討議を深めてほしい。 |
(2005.6.29) |
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