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コラム 今村奈良臣の「地域農業活性化塾」 |
都市・農村交流の新段階
―食・遊・快・会・教・知で結ぶ― |
「5都2村運動」や「1社1村運動」ということが、昨年から韓国ですすめられている。文字を一見しておおよその推測はできると思うが、「5都2村運動」というのは、週のうち5日間は都市部で働き生活していても、週末の2日間は農村で過ごし遊ぼうという運動である。いま1つの「1社1村運動」というのは、都市にある企業や会社は、せめて1つの村と縁結びを行って、企業や会社従業員のもつノウハウを農民に教えたり、労働力不足の農村の援助をしたり、農産物を購入したりして、農村、農民の支援をいろいろの側面から行おうという運動である。韓国の農村もわが国と同じように、いや、それ以上に高齢化が進み担い手は高度経済成長の中で激減しており、そのために、このような運動の提唱を通じて農村の活性化をはかろうとしているのである。
さて、先日、韓国から農村女性研修団26名が広島県世羅町にやってきた。派遣してきたのは大韓民国農漁村青少年育成財団で、これを受け入れてきたのが私が副理事長をしている(財)都市農山漁村交流活性化機構(略称・まちむら交流機構)で、今年ですでに12回目を迎えている。昨年に引き続き世羅町に受け入れをお願いしたが、先方が世羅町を強く希望してきたからである。なぜ世羅町を希望してきたかというと、世羅町には「世羅高原6次産業ネットワーク」が設立満6周年を迎え、活発な活動をしていること、特に農村女性の活動には目を見張るものがあること、ネットワークの構成員には多分野にわたる農業生産法人、農産物加工場や直売所などが組織されており、それらがこれからの韓国の農村のあり方に大いに参考になると考えられたからである。 韓国の「5都2村」や「1社1村」という運動の着眼点はたしかに卓抜していると思うが、問題は受け入れる側の農村にそれに対応できる体制がまだ整っていないことである。研修団の皆さんにその点を質問してみたが、「たしかにスローガンは良いが、農村の側に受け入れ体制がまだできていない」という返事が返ってきた。 それに引きかえ、「世羅高原6次産業ネットワーク」はすばらしい体制ができているし、さらなる新しい展開を目指して活動を深めようとしている。組織の概要を述べよう。農園7会員、産直市場4会員、加工グループ12会員、直売農園10会員、それに世羅高校やJAなど43団体、延べ人数約800人が「世羅高原6次産業ネットワーク」を結成し、多彩な活動をする中で、昨年には入り込み客数は110万人を超え、ネットワーク活動を通じた売上高は13億円に達し、いずれもこの6年間で右肩上がりを続けている。 ところで、会員の主力である農園、例えば歴史も古く全国的にも著名な世羅幸水農園などは、世羅台地の国・県営開拓地に立地したものであるが、台地下の旧村の水田集落においても、その刺激を受けて、「さわやか田打」をはじめ特定農業法人が11も発足し、さらに7つが準備を進め、広島県下でも特定農業法人の密度の濃い地域になろうとしている。 私は記念講演でネットワークの更なる発展のために、次の6文字に象徴される活動へと展開することを希望した。食、遊、快、会、教、知、という6文字である。食=食べ物で結ぶ、遊=交遊のあり方で結ぶ、会=すばらしい出会いの場で結ぶ、快=心のぬくもりで結ぶ、教=農と食との教育力で結ぶ、知=都市や企業の持つノウハウで結ぶ。このような6つの視点に立ってネットワークを更に強め展望性に富む活動をしてほしいと希望した。 特に農村側は、個々バラバラな農家ではなく、農場、農園、法人というように組織力を更に高めることが、ますます必要な時代になっていることを強調しておきたい。 |
(2005.7.19) |
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