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コラム 今村奈良臣の「地域農業活性化塾」 |
この町に子どもは残るか?
―子どもがやりたくなる農業を― |
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「この町に子どもは残るか」。この根源的な問い掛けを、私は、各地の農民塾生や講演の折などに問い続けている。先日も、酒田スーパー農業経営塾の公開講座(旧八幡町日向地区、現山形県酒田市)で問い掛けた。予想に違わず、意見百出。「いまのままでは残らない」、「いや、農業の現状を改革すれば残る」、「親が指導すれば何とかなる」、「いや、親の姿を見ていれば出ていくだろう」、「ともかく、子どもがやりたくなるような農業の姿を作っていかないとだめだ」。ざっとこういう具合で議論はとめどもなく続いた。 ◆魅力ある農業の創出を それはともかく、昭和45年(1970年)には、全国の新規学卒就農者、つまり学卒の農業の跡つぎは中学卒1万200人、高校卒2万9400人、計約4万人いたのが、平成17年(2005年)には僅かに高校卒1700人、大学卒800人、計2500人へと35年間で目をおおうように激減しているのである。農村でも少子化時代の現実の中で、この傾向はさらに今後も進み、農業への新規学卒参入者は激減していくのではなかろうか。 ◆長男集団のしがらみ ところで、かねてより私は、日本の農村は長男社会、長男集団であり、それと対照的に都市や企業は農村から排出された農家の次三男社会、次三男集団であると考えてきた。もちろん、現在では、都市や企業では世代の再生産が行われ変わってきているが、かつての高度経済成長時代には、都市や企業は農村出身の次三男でその増加人口は埋めつくされていたと言ってよかった。 ◆出すぎた釘は打たれない!? 長男は義務感、正義感に充ちあふれ、秩序を重んじ、責任感が強い。しかし、次三男などと違って長男は残念ながら思い切った改革への道をなかなか一歩踏み出そうとしない。守るには強いが攻めるには弱いところが共通してあるように思われる。何か斬新な農業、農村の改革路線を打ち出し実践しようとすれば、「出る釘は打たれる」、「後ろから鉄砲を撃たれるのではないか」という心配を、長男はいつもしているように、私から見れば思われてならない。要するに守旧派、保守派が圧倒的に多いということではなかろうか。
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(2006.9.28) |
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