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コラム 今村奈良臣の「地域農業活性化塾」 |
大豆の本作化に全力をあげよう!
―食糧争奪戦の激化のなかで― |
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食糧をめぐる激烈な争奪戦が地球規模でいま始まりつつある。
第1は、経済成長著しい中国さらにインドなど人口大国が世界から食糧を買い集めている。高度経済成長に伴う生活水準の上昇と工業製品の輸出による外貨の蓄積を背景に多様な食糧を多様な国々から買い集め、その余波は、いろいろなかたちで、日本に及んで来るであろう。日本は当面の食料自給率の達成目標を政策的に45%と設定してきたが、昨年には遂にそれまで維持してきた40%を割り込んで39%に下落してしまった。 第2は、石油価格の高騰、さらに地球温暖化対策の一環としてのCO2削減という課題に対応して、バイオエタノール原料と人間の食糧との間の争奪戦が激烈に進行しつつある。バイオエタノール原料の最右翼はトウモロコシである。トウモロコシは多様な食料の原料(例えば食用油)となるだけでなく、家畜の配合飼料としても最も重要なものであるが、アメリカではいまや大量にバイオエタノール生産に振り向けられつつある。 ところで、アメリカの穀倉地帯の中西部では、トウモロコシの連作は不可能で、基本的には大豆との輪作を原則としている。大豆生産に当たっては、遺伝子組み換え大豆(GM大豆)と非遺伝子組み換え大豆(NON―GM大豆)とがあるが、近年、圧倒的にGM大豆の生産へと傾斜してきた。GM大豆の方が生産性が高くコストも低くなり収益性が高くなることが、その理由とされている。そのため、恐らく来年以降はNON―GM大豆は全く生産されなくなるのではないかという予測もある。また、お隣の中国も大豆主産地の東北地方ではGM大豆への転換に踏み切ったと伝えられている。なお、EU(欧州連合)では遺伝子組み換え作物は容認していない。 ◆NON―GM大豆への熱いまなざし 他方、日本の消費者、とりわけ生協をはじめとする多くの消費者団体や市民団体は、GM大豆に対する反対意見をもち、GM大豆製品への反対運動や不買運動を進めてきた。いうまでもなく、食の安全性に対するGM大豆製品への不信感、危惧感がその根底にある。それは現世代だけでなく、これから生まれてくる子孫へも影響を及ぼすのではないかという強い危機感である。こういう背景もあり、わが国では遺伝子組み換え大豆は容認されていない。 ◆大豆ネットワークと6次産業化の推進を 以上のような背景も踏まえて、私は、大豆を「本作」として取り組むことを提案したい。これまで、大豆は米の生産調整の一環として「転作」として位置づけられてきた。「転作」であるためあまり熱が入らなかったのは事実である。しかし、いまや非遺伝子組み換え大豆は貴重なものとなってきた。大豆の生産を組織化し生産性の向上をはかるだけではなく、大豆製品への加工もおこない、さらにその製品を確実に消費者に届け、販売するまでの一貫した活動がいま求められているように思う。私は、かねてより農業の6次産業化の推進を農業・農村関係者に訴えてきた。6次産業とは1次×2次×3次=6次産業ということである。こうすることにより付加価値を増やし農業所得の向上がもたらされ、農村に雇用の場が増えることになる。そうした生産、加工、流通、販売、消費というネットワークを通して、毎朝の食卓に供される大豆製品である豆腐、納豆、豆乳などを安全かつ美味しい国産大豆で充たしてほしい。こういう先端的な活動は全国各地で始まってきている。私の知見の一端を紹介すれば、次のような事例と活動がある。 ◆大豆ネットワークの事例 新潟のJAささかみは、地域の大豆生産を基盤に、生協、農協、豆腐会社の共同出資によるすぐれた豆腐製造工場を作り、生協を通して組織的に消費者に供給していた(詳しくは本紙2005年10月15日付「JAささかみに学ぶこと」参照)。 ◆米の消費拡大と更なる技術開発を もちろん大豆だけでなく、米の消費減退の中で需要の伸びが見られている米加工品のさらなる開発に取り組んでほしい。米粉加工品で最近試食した中で、山形のJA庄内たがわの「はえぬき麺」のベトナムフォータイプは逸品であった。ベトナムでは麺は米粉から作るということにヒントを得たのであろう。「はえぬき」の米粉70%と北海道バレイショデンプン30%の配合で麺はシコシコ、ゆで時間は1分半で、いろいろなタイプのつゆはあったがベトナムフォータイプは今年の暑い夏にぴったりであった。
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(2007.10.10) |
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