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コラム


米検査、官から民へ

 今夏は高温傾向で水稲の生育が全国的に早い。加えて、斑点米カメムシの多発が予想され、各地で警戒注意報が発令されている。カメムシはくちばしで米の汁を吸う。そのため、お米に黒い斑点が残り、検査規格上着色粒にカウントされる。一定以上混入すると検査等級が落ちてしまう。

 昨年も、このカメムシの被害による着色粒や高温の影響による乳白・腹白米などの影響で検査の1等比率が63%と極めて悪かった。斑点カメムシに代表される着色粒の検査規格は極めて厳しい。

 1等の検査規格では0.1、2等で0.3、3等で0.7%の混入が限度となっている。1等でいう0.1というのは、カルトンに採取した1000粒のうちの1粒でしかない。おまけに見えるのは表だけ、裏返しにすれば、まだあるかも知れない。したがって、表になっている米に1粒でもあれば、まず、1等には通らない。

 その米や麦に代表される農産物の国営検査が13年度から民間に移行される。それも均質的な製品ができるカントリーエレベーターやライスセンターから先行する。このため、今JAのこれらの施設のオペレーター等は、検査業務の研修で大忙し。農産物検査の理論、分析・鑑定実習等の基礎課程を修了した後、出来秋には現場実習が待っている。

 そもそもお米が商品として流通するのに重要なものが3つ。1つは量、需要バランス。2つ目は保管施設(CE、倉庫)。3つ目は品物の規格・品質の統一。いずれが欠けても米の流通は上手くいかない。 とりわけ、米の規格・品質は今まで「権威ある第三者による統一した証明」、すなわち国営検査で保証してきた。そこに国営検査の意義があり、生産者も買い手もそれなりに納得してきた面があった。

 食糧法になってから何もかも「官から民」。その仕上げが検査の民営化。「JAはオレの米を3等にした。JAの共済なんか入らんぞ」「この米が1等?返品」ということにくれぐれもならないように。(だだっ児)  



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