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コラム |
すっかり意味を取り違えていた。危機管理とは「危機を事前に回避する」、すなわち予防策を講じることと思っていた。現代用語辞典では「発生した危機の影響を最小限に抑えること」とある。雪印の食中毒事件や三菱自動車のリコール問題などはこの危機管理が下手な例で、ある企業では模擬記者会見を行うなど対策に余念がないという。 生産調整をしているのに米の値段が下がる。全国1400余りのJA組合長の最大の悩み。今、この問題の危機管理がJAグループ、ならびに政府に求められている。1999年の米生産費調査結果によると10アール当たりの所得は4万5000円、30年前、69年の水準というからまさに危機的状況。 その原因は自主流通米価格の低迷。96年からその指標価格(全銘柄平均)は2万円の大台を割り、昨年産はついに1万6000円台に急落。今年も早場米の第1回入札、主要銘柄が登場した第2回も低調。2万円を超えた時代と比較すると6、7000円も下がっている。 生産調整の拡大、市場隔離(在庫持越)、餌料用への転換など危機管理策をいくら施しても効き目がない。今年は、今頃になって青刈りだという。おまけに、食糧法になってから生産量の50%程度しか、JAグループに米が集まらない。米の値段が下がる、米が集まらないではJAグループは路頭に迷いかねない。 土台、食糧法という規制緩和にのっとった制度はJAグループにはそぐわない。やはり米は政府がきちんと管理する。政府米が需給調整と価格の要に座る。その政府米は毎年200万トン程度は新米と入れ替える。旧い米は災害備蓄用や海外援助用とし、市場には原則として出さない。新米の政府買入価格は従来の生産費所得補償方式で算定する。自主流通米価格は政府米の買入価格を最低限とする。 そんなことができる位なら誰も苦労しない・・・だが、今、危機管理として打っている手立てはモルヒネ注射。劇薬も使いすぎると効き目がなくなるそうですが・・・。 (だだっ児) |