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コラム


『裸の王様』

 「長い長いドラマ」の筈があっけない寸劇、いや、茶番劇で幕。反乱劇の主役、自民党・元幹事長加藤紘一は、劇場の幕間のコメディアンで終わった。

 一方、11月7日に行なわれたアメリカの大統領選挙は、史上まれにみる大接戦。フロリダ州票の再集計という異常事態、この原稿の執筆段階ではまだ決着がついていない。
 そこに今度はわが日本の森内閣不信任案騒動。支持率わずか10%台の不人気内閣が、加藤紘一氏の反乱で葬られるかも知れない。長野・栃木と政党をバックにした知事候補が次々に負ける。今度は国政が変わる。加藤氏の「日本を変える」が本当になるやも。
 湧く湧くしながらテレビの国会中継を久しぶりに見る。だが、そこに見たのは加藤氏の泣き顔と髷を結った異様なスタイルの松浪健四郎議員のコップの水かけ場面。国民にむだになった時間と木戸銭を返せと言いたくなるお粗末さ。

 なんでも加藤氏はインターネットの画面から「国民の支持」を訴え、1万5千件もアクセスがあったという。それに対して野中幹事長は、組織選挙の「力」でねじ伏せようとした。誰かがこれを加藤のデジタル、野中のアナログ対決といった人がいた。世の中デジタル化がすすんでいるとはいえ、政治の世界はまだまだアナログ世界。加藤氏が足元のアナログ人間の攻略を忘れて、インターネットやテレビに出る意味が分からない。

 ところで、この不信任案騒動の当事者・森総理とは一体何だろう。騒動後、野中氏が「不信任案否決は、森総理の信任を決定したものではない」「緊張感をもち、謙虚さをもって、政局安定のために毎日毎日を刻んでほしい」と首相に注文。そう言えば、「不信任案と森総理の進退とは別問題」と言った人もいた。次はいよいよ「森おろし」?。

 今回の政変劇は『裸の王様』がふさわしい。主役は当然、森総理。本人以外は、王様が裸であることは国民だれもが知っている。だからこそ、今回の政変劇を国民は固唾をのんで見ていたのに・・・だが、王様が変わっても、こんな自民党では日本は変わらない。 (だだっ児)



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