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コラム


ふりむけばJA

 「企業30年説」というのがある。一つの企業はよくもって30年という訳だ。
 経営破綻した「そごう」は、それでも81年。ダイエーは大阪で「主婦の店」の看板のもとに1957年に開店したというから40数年で没落。

 昨秋、協同組合懇話会が発行した「協同組合“100年の軌跡”」を執筆者・阿部信彦氏から頂いた。副題は‐ふりむけば産業組合-。大変な力作、労作である。
 これによれば今のJA、農協の前身である産業組合の誕生が1900年というから、JAは齢100年を数えることになる。

 この組織は企業30年どころか100年も生きてきた。理由は2つ。1つはこの組織に“協同組合精神”が脈々と受け継がれてきたこと。
 もう1つは日本農業の源“米”の存在である。協同組合精神は農家に仲間意識と安らぎを覚えさせ、コメは農家自身の生活の糧。この協同組合精神とコメが農協、JAを1世紀も生き長らえさせてきた支柱だろう。

 とりわけ、コメの取り扱いはJA成長の大きな糧。国の検査を受けたコメは農業倉庫で保管され、国から保管料をもらう。コメ代金は即日、中金・信連を経て即日JAの組合員口座に振り込まれる。リスクのない、販売コストのかからない完璧なシステム。
 それが平成7年に食管法から食糧法に変わり、コメの仕組みは劇的に変化。街のコメ屋は淘汰され量販店が台頭。コメは安売りの目玉商品。コメの消費が減り、1/3も田んぼを休む。ついに農協もコメで飯が食えなくなり、100年で店仕舞?と心配になる。

 解決の方法はただ一つ。「瑞穂の国」の復活。全部の田んぼにコメをつくる。主食で余ったコメは飼料用、海外援助に廻す。
 仕組みづくりは世界に冠たる官僚と全国団体の役目。消費者もただ指をくわえていないで、環境維持税と自然ダム税ぐらいの汗をかく。
 そうすれば、JAも、いや日本という国も後100年は安泰。21世紀末には‐ふりむけばJA‐にしたいものだ。 (だだっ児)



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