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コラム


セーフガード

 吉野家が1週間の期間限定で行った春の「牛丼並盛り250円」セール。吉野家770店の総販売量は1千万食、売上げは単価が250円だから25億円。商売柄、1千万食で米と牛肉、タマネギはどれくらい使ったのだろうかと、気になる始末。
 2000年度版の農業白書は「食」と「農」の乖離を強調している。農業・食料関連産業の国内総生産額は1998年度のデータで56兆円。そのうち、農・漁業はわずか8兆円弱にすぎない。残り48兆円強が食品関連産業で、内訳は流通業20兆円、製造業14兆円、飲食店が11兆円という。
 そんな中、政府は4月10日、ネギ、生シイタケ、畳表(イ草)のセーフガード(緊急輸入制限)の暫定措置発動を決めた。しかし、今回の発動期間はたったの200日間。先日訪れた群馬のあるJAの販売担当課長は「今頃、セーフガードを発動しても意味がない。ネギも、シイタケも終わった。イ草のためかな?」と、ぼやく。
 このJAは米麦の二毛作地帯で、米の転作に野菜を奨励している。とりわけ、ネギは生育期間が長いので、農作業も他の野菜にくらべて楽なので力を入れている作物だという。
 イ草にしても、冬の田植え(?)、夏の炎天下の収穫と大変な重労働。3月、イ草で有名な熊本の八代を訪れる機会があった。かつての「イ草御殿」がポツポツと見える。同行の氏は「昔、この辺りは一面がイ草。だが、今はイ草がダメなので、稲や麦が増えている」と、複雑な顔を見せる。
 東の農家も、西の農家も、経済のグローバル化が引き起こした輸入デフレという魔物に懸命。が、「セーフガードが発動されると、安い輸入野菜も国内産並になってしまう。消費者としてはショック」という、全国消費者団体・・・もある。
 牛丼、吉野家一社の売上高が年間1400億円。国内農・漁業総生産額はたったの8兆円。世の中、完全に狂っている・・・。   (だだっ児)



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