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コラム


「美しい日本」

 田んぼは苗から元気な稲にすくすく育っている。最近、朝の散歩に楽しみができた。近所の田んぼに合鴨を放している。40羽も居ようか。ある日、通りかかると、合鴨軍団が畦の間を行儀よく行進。気のせいか他の田んぼより緑が濃くみえる。
 「武部農相試案」が政府の経済財政諮問会議が提示した経済財政の基本方針案に盛り込まれた。(1)都市と農山漁村の共生・対流、美しい日本の維持・創造(2)国民の安全と治安の確保(3)意欲と能力のある経営体に施策を集中し、農林水産業の構造改革を推進、とある。
 農相は小泉首相が所信表明で述べた循環型社会や自然との共生が可能となる社会の実現は農水省がめざすもの。「都市再生」とからめ、都市と農村住民が対流(単なる交流や共生ではない)する循環型社会を構築。そのために、来年度からの新規の公共事業は、すべて「自然と共生する循環創造」の視点を条件とする、と意気込む。
 何やら夢のある活き活きした農村が目に浮かび結構な話。問題は自給率目標の実現のため、農業生産の担い手を「意欲と能力のある経営体」、すなわち「プロ経営」の育成に支援策を集中するという件。プロ農家を2010年までに40万戸育てる方針とか。「それ以外の農家」は兼業なんだから地域の維持管理に精々努めなさい。そんな農家は田んぼに合鴨を放して見学でもしてもらいなさい、とでも言うように聞こえる。
 武部農相は北海道の出身。その北海道に昔勤務したことがある。畑作地帯のあるJA幹部の話。畑作作目の小豆やビートなどは自由品で価格の乱高下が激しくて困る。唯一、麦は政府が買ってくれるので助かる。その麦も昨年から民間流通、いわば自由品目。
 政府米は食糧法になってから備蓄米という位置付け。売れ行きが悪いので今年の買い上げはゼロとか。政府米はいざという時の国民の食料保険。古米は餌料などに処分して、毎年、備蓄用として新米を一定量税金で買うべきと思う。
 「美しい日本」の維持・創造は、ハード=環境づくりではなく、ソフト=人づくり。農村に人がいて、食べられて、はじめて活気づく。農業構造の改革の視点が違うような気がしてならない。      (だだっ児)



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