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コラム


Oーbento

 東京・丸の内、大手町は日本を代表するオフィス街。大手町の西側、鎌倉橋を渡ると神田街になる。神田は丸の内・大手町とは様相が一変する。昼と夜がとにかく賑やか。
 昼食時は大手企業のように社員食堂が無いせいか、勤め人たちが昼食を求めてどっと繰り出す。コンビニをはじめ弁当屋さんが軒を並べ、ラーメン、寿司、ソバ、焼肉、牛丼屋などがずらり。夜は夜で居酒屋が大繁盛。神田の胃袋はすさまじい。
 JR東日本の子会社がJAなどの猛抗議にもかかわらず、アメリカ産の米を使った「輸入弁当」を7月17日、首都圏のJR26駅で一斉に売り出した。JAグループは猛烈な抗議行動とJR山手線を走る電車の車内テレビに「やっぱ弁当は、日本の米」など、アピール活動を展開。とんだ真夏の「米騒動」。
 「輸入弁当」は「O−bento(オーベントー)」の名で、牛すき焼き風など3種類。価格は300円台から600円の割安のためか、結構売れているようだ。この弁当は、低関税の「肉魚調整品」。肉や魚の含有量が重量全体の2割以上を占める加工食品。ご飯とおかずに分類できないことが条件。これを冷凍弁当で輸入する。
 かって、国鉄として全国各産地の米を消費地まで貨車輸送したJRが、こんな姑息な商売をするようでは地に墜ちたものだ。逆に、JAと提携して、産地の米と食材を生かした「これぞ駅弁」なるものを売るべきでは。以前、冬、山形・米沢で求めた牛肉弁当は、容器の底からご飯が温かくなる工夫がしてあり、牛肉と合わせ格別な味だった記憶がある。
 国民の足、住民の足であるJRが本分を忘れて、農家感情を逆撫でするようなことを平気でする。なぜだろう。今の世の中、規制緩和・民営化・グローバル化がどんどん進む。いつの間にか、日本人は「日本人の良心」を忘れ、「何でも有り」の風潮がはびこる。JRの輸入弁当騒動の根底もそこにあるような気がしてならない。
 小泉首相は「米百俵」の精神とか、「骨太の方針」とか言っている。日本人の主食である米はミニマムだろうが、輸入弁当だろうが断固輸入しないという、それこそ「骨太の方針」を示さないと日本農業の明日はない。     (だだっ児)


農業協同組合新聞(社団法人農協協会)
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