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コラム


「DASH村」

 「実りの収穫を終えた大地に 太陽がほほえむ 汗と涙の労働で明けくれた1年の決算を歓び 慈しむ その名も種苗交換会……話しあい ふれあい 助けあいを 農の心と技を原点として ここに永々と受け継がれて 124年……」「北奥羽詩人」同人の福士一男氏が10月31日に開催した「秋田県種苗交換会」を讃えた詩である。
 この種苗交換会は県内9地区を毎年巡回する。今年は大館市で開かれた。主会場は大館樹海ドーム。硬式野球ができる広さで、屋根は秋田杉を使ったアーチ構造。農産物出品展示・産米改良展・学校農園展・JA特産市などが行われ、広い会場を埋めつくす。新穀感謝農民際や「食と農」フォーラムなど、1週間行事がつづく大イベントである。
 この行事は、壮大な収穫祭、日本一の農業の祭典。明治11年に始まり、戦争中も途絶えることなく続けてきたのは農民魂そのもの。まさに、「わきおこる大地からの祝典」、「先人に学び農業の未来をひらく」願いがひしひしと伝わる。
 日本テレビ、日曜夜の「ザ!鉄腕!DASH!」の「DASH村」にも実りの秋が来た。村のアキオさんの指導で人気グループ「TOKIO」の5人が、野菜づくりやコメづくりに格闘する。コメは夏の長雨でいもち病が発生し、有機無農薬栽培は断念。
 村の場所は非公開。コメの作付品種やアキオさんの訛りから、秋田と思ったがどうやら栃木のようだ。同僚が「この間、いもち病の発生で農薬を使ったのは良かった」という。野菜に虫がついているだけで消費者は騒ぐが、有機無農薬栽培は無理難題。それをテレビを通して証明したことは良かったという、へんな誉め方。
 「DASH村」を通して、田舎暮らしの疑似体験を楽しむ視聴者も少なくないらしい。都会の人が自然豊かな暮らしにあこがれていても、現実にはとても無理な話。それをTOKIOの若者が自分たちの代わりに挑戦してくれる。彼らのぎこちない、不器用な手つきがアキオさんの指導で、だんだんサマになり、野菜や稲が育つ。
 秋田種苗交換会のキャッチフレーズ・「農と心と技」の伝承の大切さを「DASH村」でも教えてくれる。        (だだっ児)


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