トレーサビリティ
国内2頭目の狂牛病(BSE)に感染した牛が見つかったが、今回は、飼養・食肉処理段階での全頭検査によって発見されたため、ことなきを得たようだ。あれだけの騒ぎになったのだから当然のことだが、武部農相も「BSE全頭検査態勢が有効に機能しているあかし」と胸をはる。
先日の日本農業新聞「羅針盤」に日本オーガニック検査員協会の水野葉子理事長が「有機畜産検査」について寄稿されていた。それによると、牛の検査では、全頭の検査(履歴、健康状況、健康管理歴など)、飼料(量、飼料内容、製造方法、入手先、保管方法など)、飼育環境、排泄物処理状況、輸送方法(牛乳〜乳牛、牛−肉牛)、清掃方法・状況などをすべて記録管理し、それを検査時に確認するとある。安心確保のためとはいえ、これらの記録管理は1日たりとも休む暇がない畜産農家自らやるのだから大変だ。
今、量販店・生協の食品販売のキーワードは「安全・安心・環境」といわれている。その根っこは品質保証。牛の検査ではないが、どんな製品も原料の仕入れ−製造工程−衛生管理の方法などを明らかにしないと売れない。いわゆる「トレーサビリティ(追跡可能性)」という考え方で、今や食品業界では常識になっているらしい。
これは、もともとは遺伝子組み換え食品をめぐる議論のなかで、でてきた手法で「作物が栽培されてから流通、加工を経て消費者の口に入るまでのルートをたどることができるように、記録などを保持するシステム」をいう(現代用語の基礎知識)。たしかに、このシステムであれば、何かあったときの原因究明や対応が早くできるので、遺伝子組み換え食品に限らず、先の牛の例のように、どんどん間口が広がるような気がする。
FACE TO FACE いわゆる「顔の見える関係」が信頼の土台というわけで、おコメでは、田植えや稲刈りなど消・産の交流活動が盛んに行われている。そのうち、もっとすすんで、トレーサビリティ、すなわち、どこで栽培され、どんな農薬が使われ、どこの倉庫で、どんな保管管理がされていたのかを記録管理し、品質保証をしないとコメは売れない時代になるやも知れない。いや、もうなっている。(だだっ児)