新しい米文化の創造
全農チキンフーズの鶏肉偽装事件が発覚。この事件で親会社の全農は全治10年、15年の傷を負ったと言われている。あらためて、「食」に関する商売は「安全」と「ほんまもん」という基本を忘れると、取り返しのつかない事態になることをおしえられた。
先日、食の「安全」と「ほんまもん」を追求する、いや、もっとレベルの高い「新しい米文化の創造」を標榜する「全国農協食品株式会社」を訪問する機会を得た。栃木県真岡市にある最新鋭の冷凍米飯工場を見学。今はやりのHACCPこそ取得していないが、衛生管理は徹底している。
工場のなかに入るには、キャップをかぶり、マスクをつけ、上着を着衣。粘着ローラーで全身をくまなくこすり、髪の毛1本見逃さない。手を石けんで洗い、さらにアルコール消毒。今の消費者は、米に糠(ぬか)や、具材のタマネギに皮がちょっと入っているだけでクレームをつけてくるというから、品質管理には念には念をいれる。
「石田社長、どうしてHACCPをとらないのですか」「HACCPは、安全確保の手段であって、目的ではないはず」「工場がいつでも取れるような状態にするのが先決」とキッパリ。「安全・安心」は食品企業にとって、当たり前のこと。それを売り物にするようでは、それこそ「ほんまもん」ではないともいう。たしかに、そのとおり。どうやら、この会社は1歩も2歩も世の中の先を行っているようだ。
この会社のコンセプトである「新しい米文化の創造」にしても、社長は「玄米を精白にして、売る時代は終わった」、これからは「米を消費者に喜ばれる食品に変えて提供する時代」、それが「この意味」と明確。そうすれば「米の消費も増える」と、これからの米消費の姿を読み切ったことばに、ほとほと感心。
社長にすすめられて帰りに東京・新宿の高島屋の地下をのぞく。いわゆる、百貨店の食品売場・デパ地下。ありとあらゆる食品が美味しそうに、美しく、おしゃれに、楽しく、健康そうに並んでいる。なるほど、ここは食文化のかたまりだ。(だだっ児)