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コラム


「農協つぶし」に反撃を!

 この国はどこかおかしい。憲法違反の有事法制案を堂々とぶちあげる首相。国是とされる非核3原則をねじまげる官房長長官。「改革をすすめるか、さもなくば解体を迫られる運命にある」とJAグループを恫喝する農相・・・。
 さしもの有事法制案は今国会での成立は難しくなったようだが、武部農相がすすめる「食と農の再生プラン」とやらは、6月末にまとめるというから、時間がない。時間がないうえに、中身がJAや全農の事業改革に及んでいるだけに対応を急がねばならない。
 「食と農の再生プラン」と、国民向けの耳ざわりの良いことばを使っているが、本音はJA改革、とくに、経済事業の改革を目論む。『農協型民間会社』をうたい、JAや全農の事業を営農指導や購買、販売などの機能ごとに子会社に移して分社化し、本体は「司令塔」の役割という青写真とか。おだやかな話ではない。
 農相は、さらに「ネット取引の拡大や量販店の増加で生産者との直接取引が広がっているのに、農協は手数料をもらってまだ『中継ぎ貿易』をやっている」とまでいう。農相のこの発想は、BSE問題で「重大な失政」と国民に批判され、あたふたと「消費者に軸足を置いた農政」をぶちあげ、返す刀でJAグループに矛先を向ける、二股膏薬そのもの。
 そもそも、農政は、生産者側に軸足があって当然の話。BSE問題で畜産農家がたいへんな目にあい、稲作農家は30年もの減反政策ですっかり疲弊しているのに、その元凶がJAとは笑止千万。猫の目行政、軸足のぶれる農政こそが元凶。
 こんな農政をつづけて、何が「都市と農山漁村の共生・対流」、「都市と田舎のデュアルライフ(二重生活)」なのか、JAをいじめ、国民に媚びる政策は農政ではない。
 それにしても、こんなプランやJAを愚弄する発言をぬけぬけと農相にさせておきながら、JAグループの反撃がないのも妙な話。これも、農相の言う「農協は理事会だ、総会だといって、物事を決めるのに時間がかかりすぎる」せいなのだろうか・・・。
 今回のJA改革といい、食糧庁の生産調整研究会での系統米穀事業の改革は、焦眉の急。かつて、米価運動で見せたあのエネルギーは、もうJAグループにはないのか。 (だだっ児)


農業協同組合新聞(社団法人農協協会)
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