「減反廃止」報道の意味
6月23日(日曜日)朝日新聞の一面。サッカーW杯、韓国4強の大きな見出しの脇に、「コメ減反、段階的廃止へ」とある。食糧庁の生産調整研究会では、「生産調整ありき」が前提で、その手法を面積配分から生産数量配分へ移行する考えが国から示されていたはずなのに・・・。
食糧庁の生産調整研究会は、昨年の米政策の見直しのなかで、積み残された「新たな生産調整のあり方」を議論するはずであった。それが、この4月以降この研究会のもとに、生産調整部会、企画部会、流通部会が設置され、米政策全般にわたる議論が展開されるようになった。そのうえ、生産調整部会長のT氏(元事務次官)が、三部会で終始リード役を務めている。
T氏は、「需要に応じた米生産」をはかるには、正確な情報を生産者に伝える必要がある。すなわち、市場の情報をもとに、米をつくるか、つくらないかの選択は生産者がすべきだという。生産者には正確な情報が伝わらないのはJAのせいで、JAグループの米穀事業の基本的な仕組みである「委託販売」「共同計算方式」が障害になっているとまでいう。
日本の農家が大規模農家ばかりなら、T氏の言い方も分からないでもないが、実体は百も承知のはず。それに、なぜ、JAグループの米販売事業のやり方まで口を出すのだろう。この言い方は、武部農相の「改革か、さもなければ解体」と、そっくり。
この疑問が朝日の報道を見て、農水省(いや、T氏)の本音がやっと読めた。今思えば、T氏は、米を市場経済にさらすシナリオを食糧庁の課長時代から、目論んでいたような気がする。自主流通米の価格を「入札」で決める方式をとりいれ、ミニマムアクセス米を受け入れ、食管法を廃止し、米の国営検査を民営化に切りかえた。最終楽章は生産調整の廃止。なんと凄腕のシナリオライターであろう。
T氏の最終楽章の完成をゆるしては、農家がつぶれ、農協もつぶれる。JAグループの新楽章の構築が急がれる。 (だだっ児)