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コラム


ファンファクトリー

 「凄い男がいたもんだ・・・・ビールを飲もう」、だいぶ前に流行った歌。7月の半ば、旨いビールを期待して、北海道に渡ったが、40数年ぶりという夏台風の影響か、「えぞ梅雨」を思わせる天気。
 ビールはともかく、目的は、このたび竣工したホクレンの新パールライス工場、すなわち、精米工場の見学。年間精米能力13万5千トン。日本一、否、東洋一の工場とか。
 この厳しい時代に40数億円に及ぶ設備投資、そのコンセプトは? パンフには「21世紀基準の“ライスファクトリー”。3つの管理=(1)品質管理、(2)衛生管理、(3)生産管理で、安心、安全、おいしいパールライスをつくります」とあるように、IT技術を駆使し、安全かつ徹底した衛生管理を追求した「一歩進んだ食品工場」が、宣伝文句。
 工場長は「ハードはたしかに日本一かも知れないが、ハードは金で買える。人の資質面での日本一をめざす」と、謙虚に抱負を語る。が、これはごくふつうに見られる企業姿勢。
 この工場を立ち上げた旧知のホクレンM部長がいう。「はしの文化を大事にしたい。将来、その文化を背負う子どもたちに、コメの大切さを実際に見てもらい、知ってもらいたい」「子どもたちが米・ごはんを好きになる、親しむ(fan)、そして、楽しく(fun)感じてもらえる工場、『ファンファクトリー』をめざした」と、人懐っこい笑顔をむける。
 たしかに、この工場は、単に米という製品をつくるだけの精米工場、品質・衛生管理が行き届いただけの食品工場ではない。子どもたちに、米・ごはんのファンになってもらう工夫が随所にみられる。言葉は悪いが、子どもたちが米・ごはんが好きになる「マインドコントロール工場」が真のねらいなのかも知れない。
 米の直接の購買者は、大人。でも、はしの文化、米・ごはんをを食べる文化の継承者は子どもたち。米の消費が段々減る。JAグループは米の消費拡大に必死になっている。目先の取り組みも大切だが、ホクレンのこのパールライス工場のように、5年先、10年先のスパーンで考えることも大事なことを教えられる。
 全国のパールライス工場が、こんなコンセプトをもてば、近い将来、米の消費は確実に拡大しよう。 「凄い男がいたもんだ!」 (だだっ児)


農業協同組合新聞(社団法人農協協会)
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