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コラム |
“禁じ手” プロ野球ペナントレース・セリーグは、新監督・原巨人軍が制した。その原監督が今シーズン、1番悩んだのは、怪我人続出による選手起用ではなく、“禁じ手”を使ったのではという試合があったことだと言う。6月19日、対横浜戦、延長11回に代打に投手の桑田を起用した。桑田は、野手顔負けのバスターを決め、巨人は試合に勝った。ファンは“原マジック”と、その采配を賞賛したが、原監督は、野手3人を残していながら、投手を起用したのは“禁じ手”では、と1晩眠れなかったと明かす。 “禁じ手”、相撲や囲碁、将棋などで使うことを禁じられている技や着手をいい、使うと反則負けになる。相撲で言えば、髷をつかむ、蹴る。将棋で言えば、2歩、動けない場所に指すなど。野球では、危険球で退場になることはあるが、とくに禁じ手はないようだ。原監督の場合も、もちろん禁じ手ではない。 話は変わるが、日銀がこの禁じ手を使ったのではと騒がれている。日銀による銀行保有株の買取り問題。経済音痴で論ずべき筋合いはないが、この手は中央銀行として、とるべき手ではなく、禁じ手と論ずる識者が圧倒的に多い。 この禁じ手云々は対岸の火事ではない。農業・農業界にも、いま、3つの禁じ手が使われようとしている。1つは、企業の農業参入問題。「農業特区」か、「耕作放棄地」か、知らないが、農地法の「耕作者主義」をこじ開けようとしている。2つ目は、農協解体論。武部前農相は、「解体的改革がなければ、農協の存在意義はゼロ」と、恫喝する。3つ目は、農協の独占禁止法適用除外の見直し論。経済財政審議会や、「農協のありかた研究会」まで設けて、見直しをすすめようとしている。 宮田全中会長は、これらの動きに「農協組織を理解していない」「農協組織そのものを否定するもの」と、必死に抗弁するのも当り前。これは、間違いなく“禁じ手”。断じて、許せない。そんな折り、9月30日の内閣改造で、農水大臣が武部氏から大島理森氏に替わった。 大島新農相は「中庸」が信条とか。早速、「JAは農村社会の核」との認識を披露。新農相のバランス感覚に期待したい。(だだっ児) |