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コラム
 

生産調整廃止の愚

 米政策改革の最終決着の11月末まで、後、僅か。6月の生産調整研究会の「中間とりまとめ」までは、JAグループも押しまくられた感があった。そこは、痩せても農協組織。お得意の組織討議を踏まえ、政策提案を決めると、俄然、攻勢に出つつある。
 最大の争点は、国による生産調整配分の廃止。食糧庁は既報のとおり、平成22年度を目標に「米づくりのあるべき姿」に移行する4タイプを示した。第1案は16年度に生産調整を廃止、第4案は時期を明記していないが、第2案と第3案は数年後に廃止する案。
 さて、この米の生産調整問題。前号で触れた不良債権問題とよく似ている。銀行の不良債権処理がすすまないかぎり、日本経済は良くならない。しかし、デフレ不況、地価の下落がつづくかぎり、いくら処理を加速させたところで、新たな不良債権が増えるばかり。
 解決策は、デフレ不況の克服。国民が消費を増やし、その結果、企業が利益を上げられる環境にするしかない。でも、国民の財布のひもはなかなか緩まない。いつ、リストラに遭うかわからない。年金が貰えなくなるかもしれない。医療費が上がる。こんな不安社会では国民の財布の紐が緩むはずがない。不安社会から安心社会にすることが急務。
 米の生産調整の問題も本質は同じ。生産調整、縮小再生産をつづける限り、日本農業は良くならない。しかし、米過剰のなかで、生産調整しなければ、米価の暴落を招くだけ。したがって、生産調整の廃止は愚策。
 この問題の解決策は、不良債権処理問題と同じように、消費の増加、米消費の拡大しかない。毎年、米の消費が10万トンから15万トン減りつづける。これを逆にしないかぎり、永遠に生産調整問題は片付かない。国は、アジア米備蓄構想の実現に全力をあげる。MA米の輸入は即、止める。回転備蓄から、棚上げ備蓄にする。学校給食は全部米飯にする。国のやることは山ほどある。
 不良債権処理よりも、先ずは景気対策。米で言えば、生産調整の廃止よりも、米の消費拡大対策。それが軌道に乗るまでは、生産調整から国が手を引いてはならない。国が主食の供給責任を回避しては、農家、いや、国民を不安におとしめるだけ。
 「構造改革なくして、成長なし」はもういい、「不安社会から安心社会」にすることがデフレ不況の克服では・・・小泉首相。(だだっ児)


農業協同組合新聞(社団法人農協協会)
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