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コラム |
“JA米” 最近、店頭で米を売っている中堅スーパーと米卸の話を聞く機会があった。このスーパーは、明治33年の老舗、首都圏を中心に126店舗、食品の売上が80%を占める。“食”という字は、“人に良い”と書くように、健やけくの実現、すなわち、お客さんが健康で、豊かになることがモットーという。米の販売は、売上単価が下がって苦戦しているが、その中でも、無洗米が救世主的存在。環境問題、便利、夏場の節水、冬場は水が冷たい、が理由。その他の売れ筋は、天日乾燥の米、減農薬の米、寿司用のササニシキなど、こだわり、わけ有りの米とか。 担当課長は、お客さんに生産者の顔が見える、メッセージが伝わる、価格よりも商品の価値がお客さんに伝わることが、米の売れる第一条件だという。 一方、こうしたスーパーなどに米を納入する卸は、原料を産地から仕入れるだけに、産地には一段と厳しい話になる。日本人の主食たる「米」に携わる企業にとって、いかに安心・安全を担保できるかが、企業の生命線と、きっぱり。 原料には、石・釘・ネズミの糞・金属片・ガラス片などの異物混入が多く、精米工場は金属検出機やガラス選別機などの付帯設備への投資が莫大。さらに、出荷した商品にクレームが付いた場合、精米工場はもちろん、産地側まで、速やかに原因を追及できる、いわゆるトレーサビリティシステムが確立していないと商売にならないと訴える。 さて、米政策改革の議論が大詰めを迎えているが、集荷・流通面の議論があまり見えてこない。全農の資料によると、米事業改革のポイントとして、「JAが取り扱う米は、すべて安全で内容が確認できる米(JA米)」を確立し、JA、連合会の優位性を発揮する、とある。JA米は、種子更新100%、農産物検査100%、トレース可能米100%のうち、「全農安心システム米」50万トンをめざす、としている。 ある大手卸の社長は、「米の数千年の歴史のなかで、カドミウム汚染以外は、米の安全が問題になったことはない。消費者はぜいたくな要求をしている」と警鐘を鳴らすが、現下の情勢を考えると、JA米への指向も仕方がないことだろう。 ただ、“JA米”という名前はどうも・・・・“農協米”ではどうだろうか。 (だだっ児) |