農業協同組合新聞 JACOM
   

コラム

「JA米」スタート

 真夏日の記録更新、台風ラッシュ、今年の日本列島は異常気象に振り回されたが、ともあれ、田んぼから米が消え、食卓に新米がのる季節になった。
 私事で恐縮だが、女房が母親の介護で、留守を預かるはめになり、ご飯の炊き方を教わった。実に簡単! 一人分だと200ccのカップ一杯の米と同量の水を炊飯ジャーに入れて“炊飯”のボタンを押すだけで炊き上がる。
 よく米を洗剤で洗うとか、水が冷たいので、しゃもじでかき混ぜるとかの話を聞くが、今は無洗米もある。ここは一つ、象印さんに炊飯ジャーを小学校に置いてもらい、実際に、子供にご飯を炊いてもらってはどうだろう。米を洗剤で洗うような人に、なんぼ米を食べろといったところで無駄。急がば回れ、子供をご飯党にするのが、米の消費減退に歯止めをかける唯一の方法…。
 今年は米改革元年。いよいよ、「JA米」がスタートする。特徴は(1)銘柄が確認できる種子により栽培(2)登録検査機関で受検(3)栽培履歴記帳の確認の3つ。加えて、DNA鑑定とかコンタミ防止などJAS法がらみのややこしい問題もあるが、ぜひ、世の中に認知されるよう頑張ってもらいたい。
 ただ、気になるのは、これらJA米の条件は単に、コシヒカリならコシヒカリに間違いございませんという品種の証明でしかなく、人間で言えば、戸籍謄本を見せて、このとおり間違いなく日本人でございますというようなものでは、という気がしてならない。栽培履歴の確認にしても、農家が人様に害になるような農薬を使うはずがない。これらのハードルがJA米のコンセプトとする「安全・安心」にどう繋がるのか、全然見えない点が気がかり。
 田んぼで獲れた米は、乾燥・調製して、必ず一定期間、倉庫やカントリーで保管しなければならない。米は「生き物」、呼吸し、次第に養分を消耗する。脂肪、蛋白質などの成分が分解し古米化がすすむ。カビや害虫も大敵だ。
 要は、米が倉庫で保管されている間は、子供が学校で教育されているのと同じ。愛情をもって育てないと悪餓鬼になるように、米もしっかり管理しないと食味が落ち、カビや害虫に侵され、売り物にならなくなる。農家が丹精込めてつくった米(商品)を、しっかり保管し顧客に届けて、はじめて「JA米」と言えるのではないか。何も、純粋の日本人、いや、コシヒカリ100%を証明して、安心・安全を担保することにはならない。仏つくって魂入らず…。(だだっ児)

(2004.10.18)

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