時計の針を元に戻せ!
一体、日本列島はどうなっているのだろう。真夏日が過去最高を記録。台風も過去最高の10個上陸、凄まじい地震が新潟県中越に襲う。火山の噴火、クマも人里に出没、日本列島は散々。長雨と曇天、台風被害が加わり、レタス・ハクサイ・キュウリなど野菜が高騰。米も前回の作況指数「101」を「98」に下方修正。でも価格は“新古逆転”、消費は低迷、産地も米卸も四苦八苦。
産地は、米政策改革とやらで、「売れる米づくり」をすすめたのはいいが、聞くところによると、農家への仮渡金が60キロ、11000円〜12000円という。昨年と比べると、農家手取りは下手すると半分。一方、米卸は卸で、昨年の高い値段で仕入れた米が在庫の山で、青息吐息とか。
今年は米政策改革元年。異常気象に振り回されたこともあるが、米流通はスタートから大混乱の様相。なぜなのだろう。それは国が本来果たすべき需給調整の機能は市場経済に任せ、本来全農が担うべき米流通の「手綱取り」を握るという、おかしな構造、国と民間の役割が逆になっているからではないだろうか…。
かつて、自主流通米が米流通の太宗を占めるようになるや、全農の価格交渉権を奪い、自主流通米価格形成センター(現、コメ価格センター)をつくり、売り手が値決めに何ら関われない不思議な仕組みにする。そして、今度の食糧法改正で、全農の自主流通指定法人の看板をはずし、米の在庫調整の機能も、集荷円滑化対策とやらの名で国の息のかかる「米穀機構」に移す。
全農は、これで米販売における大卸としての機能をすっかりもがれ、全国集荷団体という機能だけになる。これは、昔、国が米を全量管理していたときの産物で、今は大して意味がない。大卸、売り手の長としての機能、力がなければ、JAからも卸からも相手にされない。故に、全農は、まず、価格形成の機能を回復すること、いや、創ることが全農再生の第一歩。
今さら、時計の針をもとに戻すのは容易ではないだろうが、何でも、今度の法改正で米の指標価格を形成するセンターは、「コメ価格センター」の独占ではないようだ。ここは一つ、「JA米価格センター」なるものを旗揚げしてはどうだろう。行き詰まったときは「原点」に戻れが先人の教え。全農が主導権を握らなければ、米流通の混乱は永遠につづく! (だだっ児)
(2004.11.9)