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コラム |
農協人の想い 「りそな」、響きのいい語だと思っていたが、反響する、共鳴するとかの意のラテン語とか。りそな銀行が自己資本不足に陥り、2兆円の公的資金が投入される。2兆円、途方もない金額だ。例えば、わが国の220万農家が汗してつくる米の生産額がおおよそ、2兆円。それが、1銀行を救済するのにあっさり、国民の税金が投入される構図は何か奇異。5月のはじめ、15年春の叙勲者決定。農協関係の叙勲者をながめると、中に懐かしい顔をみる。元新潟県農協中央会副会長の丸山文男氏。氏は、営農指導員を経て、若いうちから、農協の組合長を経験した苦労人。一度、農協を訪ねた際、信濃川の水を高台に引いて水田にした苦労話を得々していたのを思いだす。 「食糧をもたない経済大国はありえないというのが私の持論。外国から輸入している食料を止められたら日本人は餓死してしまう。これからは輸入に頼っていたのでは駄目、第一次産業である農林水産業は大変大事だ」は丸山氏の受賞の弁。氏の持論は、官民一体となった農林水産業の振興。その精神未だ健在なり。 黄綬褒章を受けた福井県・石橋若狭農協組合長の「私は常に協同組合活動の本質を、集落の座談会、田んぼ・畑で呼びかけてきた。全国連は、経営事業改革の名のもとに協同組合の精神を忘れさろうとしている。これでは、農協そのものの存立基盤を危うくする」と、今の農協界に警鐘をならす姿勢が煌々と映るのは私一人ではあるまい。 さて、農協人文化賞、今回は数えて25回目。各部門で献身的に農協運動の発展に寄与してきた功績者がずらりと並ぶ。なかに、一般文化部門の特別賞として、故人の三輪昌男氏の名がみえる。三輪先生は、白皙・長身痩躯のスタイリスト、柔和な語り口ながら、舌鋒の鋭さは群を抜く。すっかり三輪信者になった途端に逝去の報とは残念至極。きっと墓場から陰から「今の国のやり方は異常だ。農協陣営はしっかり理論武装して、毅然とした対処をしないと、日本農業はおろか農協の存立基盤そのものが危ない」と、憤慨しているにちがいない。 農協運動の先達者が言うように、日本人は外国から輸入している食糧を止められたら餓死する事態をなんら考えない民族に成り果てている。おまけに、農協組織すら、その存立理念、すなわち「協同組合とは何か」を知らない、いや、知ろうとせず、故人となった先生から叱咤される、骨のない存在になりつつあるような気がする。 先の石橋若狭農協組合長が言うように、「協同組合理念の学習は、いかにも地味だが、やり続けないと、農協の明日はない」を肝に銘じるべき。 (だだっ児) (2003.6.5)
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