農業協同組合新聞 JACOM
   

コラム
  ゴジラ凱旋

 勤労感謝の日、Jリーグ2部でアルビレックス新潟がJ2優勝を決め、悲願のJ1昇格を果たした。全国のサッカーファンから見れば、大した出来事とは思えないが、新潟はホームでの22試合で66万人、1試合平均3万人の観客を集めた。
 新潟のサポーターにすれば、野球で阪神タイガースが優勝し、虎ファンが熱狂したのと同じ心理だろう。
 その2日前、ヤンキースの松井秀喜外野手が帰国した。マスコミは凱旋帰国と囃すが、たしかに、満塁ホームランの本拠地デビュー、ワールドシリーズでの活躍、何より180数試合、全出場は凄い。トーリ監督から「誇り高き若者」「慎み深さを備えたスター」との賛辞は、日本人の誇り。
 また、松井が大リーグの新人王を獲れず、ヤンキースオーナーが怒り狂ったが、日本で10年も活躍し、3冠全てのタイトルを獲った選手が、大リーグとはいえ、新人王とはおかしな話。ここは、日本のプロ野球も少しは見直されたと思うべきだろう。だれが「慎み深さを備えたスター」が新人たるものか。
 ところで、日本のプロ野球、落ちるに落ちた感がする。その最たる象徴がナベツネ率いる読売巨人軍。いつの間にか、ビジターでのユニフォームのロゴがTOKYOからYOMIURIに変わっているように、原監督の辞任劇、ダイエー小久保選手の無償譲渡など、巨人は「ファン」のためではなく、「読売」のためにあるようだ。
 長年の巨人ファンもホトホト愛想がつきる。せめて、「誇り高き若者」松井選手の爪の垢でも煎じては、の気持ちになるのは私一人ではあるまい。
 それにしても、大リーグは、地区、リーグ、ワールドチャンピオンとファンが息つく暇もないほど、連戦がつづき、見ごたえ十分。日本のプロ野球のように、日本シリーズまでリーグ優勝が決まってから、1カ月以上も間隔が空くのは、「ファン」あってのプロ野球を意識していない証拠。
 では、どうすれば良いのか。それは企業のフランチャイズ主義から、Jリーグのように地域密着主義をとることだ。日本ハムが北海道に本拠地を移すが、いつまでも読売新聞、阪神電鉄、ヤクルトなど企業の広告塔、企業エゴ丸出しの球団運営では、もはや日本プロ野球の明日はない。アルビレックス新潟の山口主将が叫ぶ「新潟、最高!」がそれを如実に物語る。
 それとは別に、来期のゴジラ松井のいっそうの活躍を期待したい。 (だだっ児) 

(2003.12.2)

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