イラクで日本人外交官2人が殺害された。現地に向かう遺族の新聞写真は胸をうつ。井ノ上書記官の長男のあどけない笑顔。口を真一文字にして、孫の手押し車を押す祖父。黒い帽子を目深に被った書記官の妻。この写真を見ただけで、イラクへの自衛隊派遣問題は答えがあったと、普通の人は思うはず。でもこの人(小泉首相)は、相も変わらず「テロに屈せず」の一点張り。この人の頭のなかみから、それこそ“構造改革”が必要なのでは…。
さて、年金問題。衆院選後も、新聞やテレビで連日のように報道され、週刊誌の電車の中づり広告には「年金」の文字が躍らない日がない。この問題、簡単にいえば、少子高齢化がすすみ、年金財政が大変だから、保険料を段階的に引き上げ、給付水準を引き下げていくということだろう。
具体的には、給付は現役世代の手取り収入の50%台を確保し、保険料負担は労使合わせて20%とかの厚労省案がでている。確かに、これは定年間際のサラリーマンにとっては大きな関心事だが、日々の生活に汲々し、将来6万円程度の国民年金しか当てにできない自営業の人たちには、他人事と思っているのでは。
それが証拠に自営業、学生などが入る国民年金の保険料未納者が4割もいるという。スーパーやコンビニの進出で、商売が立ち行かなくなった自営業者にその負担を強いるのは酷。親の脛かじりの学生には負担は大きく、また、200万人もいるといわれる低賃金のフリーターにとっては痛い出費だろう。
もうひとつの問題は、年金支給年齢の引き上げにともなう雇用期間との空白問題。厚労省は定年65歳延長を打ち出してはいるが、これも限られた優良企業にしかできない相談。どこの企業も正社員から派遣社員に切り替えるなど人件費の節約に躍起。おまけに、高卒はむろん、大卒すらなかなか就職できないご時世に、「老兵は消えなさい」が常識。
年金問題の解決は、まずは新卒や若年者の雇用の確保、とくにフリーターの解消が先決。フリーターやパートが小売業を蹴散らしたスーパーやコンビニに群がる構造にこの問題の解決はない。金持ちも貧乏人も、高齢者も学生も等しく支払う消費税で国民年金(基礎年金)をまかなうべきではないか。また、その給付額をせめて月額10万円程度に引き上げ、生活の最低保障額としないと、魅力ある年金とはならず、未納者は増えつづけるだけだろう。
(だだっ児) (2003.12.11)