我が家の三大不良債権?
今、東大生は就職先の選定に悩んでいるそうだ。小学校、中学校、高校と、偏差値世界での勝ち組が、いざ就職先となると、従来、高収入、安定した生活を保証した銀行、証券、生保などの金融機関がいつ経営破綻するか分からない時代になり、彼らの選択肢が狭まったからだ。
先日、山登り仲間の会合があり、経営破綻した彼のR銀行に勤めているS嬢の今年の夏のボーナスは0.5カ月プラス3万円とか、これでもボーナスは2年ぶりの支給だという。また、住宅ローンなどを抱えている40、50歳代の中高年層は、ヘッドハンティングされ続々と銀行をやめていくそうだ。
銀行と言えば不良債権処理問題。「年収300万円時代を生き抜く…」の著者、森永卓郎氏に言わせれば、サラリーマン族の三大不良債権は、住宅ローン、子どもの教育、専業主婦だという。たしかに、我々中高年世代の大半のサラリーマンには家がない。仕方がないから、何十年もの住宅ローンを組み、家を建てる。おまけに、子どもは親父がサラリーマンなら、家業を継げるわけでもなく、頭の良し悪しを別にして、大学とやらに遊学(?)させざるを得ない。専業主婦の奥方は子育てが終われば、後は朝から晩まで我が天下。まさに、三大不良債権?
我が家の不良債権を眺めてみると、子どもの教育問題はどうにか終わったものの、住宅ローンはまだしばらくかかり、奥さんは今更パート勤めは嫌とかで、最近なけなしの貯金をはたいて、株の個人ネット投資にのめりこみ、毎日パソコンを睨み一喜一憂の態。
でも、今振り返ると、こんな典型的サラリーマン生活をそう後悔していない自分に気づく。住宅ローンも何とか不良債権にならずに払いつづけ、子どもの教育も一応の格好がつけられ、女房は専業主婦として亭主の尻をたたきつづけ、どうやらサラリーマン生活の終着駅を迎えることができそうだ。考えれば、こうした普通の人生を歩んでこられたことが、大きく言えば、今日の日本を支えてきたのだと、誰かのセリフではないが、自分を自分で誉めたくなる。
その意味で、これらは不良債権ではなく、優良債券。とりわけ、年金保険料も払わない専業主婦はとかく評判が悪いが、昔風の良妻賢母型の奥方は、これから先の世の中ではみられないような気がする。てなこと、言っちゃって…。(だだっ児) (2004.6.18)