農業協同組合新聞 JACOM
   

コラム

21世紀の「国のかたち」

 関東は連日、猛暑がつづく。おまけに雨が降らない。お陰で、我が家の家庭菜園は水不足。ナスもキュウリもゲンナリ。稲はさすが水田作物、田植えから3カ月も経たないのに、背丈ぐんぐん伸び、穂を孕んでいる。でも、昼も夜もこんなに暑くては、稲も夏バテし、品質は良くないかも。
 この炎天下、参院選が行われた。結果は「自民敗北、民主躍進」、「自民苦戦、改選数割る」の新聞の見出しどおり、小泉政権の独走にお灸がすえられた。「年金」「イラク」「農業」、21世紀のこの「国のかたち」をどうするか、自民党の敗北で、時間稼ぎができ、国民は一安心というところか。
 自民党の敗因は小泉首相の長期政権のおごりと支持率の高さの慢心だという識者が多い。年金問題にしても、出生率発表の「後出しジャンケン」や、自身の未納を問われ、「人生いろいろ」では、この人は、やっぱり、生まれたときからの国会議員。生活者の視点は何ら持ち合わせていないことがはっきりした。
 また、自衛隊のイラク多国籍軍参加問題は、国民に「戦争への不安」を掻き立てる大きな問題なのに、ブッシュ大統領に勝手に約束し、国民をつんぼ桟敷に置いては、いくら人の良いこの国の民も怒ろう。
 さて、21世紀の農業政策。投票日前に、山下惣一さんが、朝日新聞に寄稿していた記事が目についた。それは、東北山形で、地元の建設業者が水田27ヘクタール買収して米作りをし、借金返済のため田んぼを売った農家が雇われて働いているという内容。新しい地主―小作の関係が生まれようとしていると話されていたが、株式会社の農地取得を認めれば、こんな光景があちこちで見られることになるだろう。
 参院選では、自民党、民主党は、1兆円の「直接支払い」を提起した。株式会社の小作人になるよりはましかも知れないが、いずれにしろ、早く、この国の農のかたちを決めないと、株式会社、いや、外国資本にまで農地を買収されてしまい、農家は彼らの雇われ労働者になるやも知れない。
 「国民皆年金制度は守れるのか」「戦争への不安をどう拭うのか」、そして「日本農業をどう守るのか」、いずれも、21世紀の“国のかたち”を決める重要なテーマ。次の衆院選が関ヶ原の戦いになろう。国民一人一人がしっかり注視しないと、21世紀、この民族は路頭に迷いかねない。 (だだっ児) (2004.7.26)

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