同じ穴の狢
新潟、つづいて福井を集中豪雨が襲った。新潟の豪雨は、1日で年間雨量の2カ月分というから凄まじい。多数のお年寄りが亡くなり、家屋が流され、水田も泥水に浸かる大惨事。心からお見舞い申し上げたい。ちょうど、その頃、新潟に用事でいた。帰り、車窓から覗くと、燕三条駅から長岡駅あたりは異様な空模様。越後湯沢駅を過ぎて、関東に近づくにつれて、今度はかんかん照り。
何しろ、東京都心の温度は40℃まであがる。そういえば、今、アメリカはブッシュ政権を批判した「華氏911」という映画が過熱しているが、アメリカは我々が日常使う、摂氏温度ではなく、華氏温度を使うそうだ。摂氏40度は、華氏で104度とか。ちなみに、この華氏、摂氏は考案者の中国訳と辞書にある(例えば、華氏は考案者ドイツ人ファーレンハイト氏の中国読み)。
また、プロ野球の話で恐縮。巨人の渡辺恒雄オーナーの「分をわきまえろ、たかが選手が」発言以来、俄然、日本プロ野球の行方が「国民的話題」になってきた。世論調査でも、圧倒的に2リーグ制維持の声が強い。それは「チームの減少―ファンの減少―最後は野球人気の衰退」、つまり、ファン開拓を忘れ、「縮小均衡」を続けるだけでは、野球人口のすそ野を狭めてしまうという考えが底流にある。
プロ野球は協約に「文化的公共財」と謳っているそうだが、たしかに、プロ野球は日本文化の1つ。でも、先細りするファンの数という需要規模に応じて、供給量(チーム数)を減らすという、単純な縮小均衡策ではプロ野球は衰退するばかり。なぜ、ファンが増えないのか、どうすればファンを球場に足を運ばせることができるかの掘り下げが先で、企業論理優先は本末転倒。
お叱りを受けるかも知れないが、この縮小均衡策の典型を日本農業の代表的作物、米にみるような気がする。生産量が上がって、米が余る、減反して「需給調整」を図る。米の消費量が段々減る、また、減反する。日本の水田稲作はこの縮小均衡を30年以上も繰り返してきた。米消費の減少は、時代の流れととらえ、もっぱら供給量を減らして調整する。結果、農業は衰退の道を歩む。
なぜ、米の需要は伸びないのか、どうすれば、ご飯党を増やせるのか、ファン(消費者)と選手(生産者)の声を聞き、経営者(国、JAグループ)が対策を建てないと、今に日本から、水田、米が消えるかも知れない。もちろん、プロ野球も…。(だだっ児) (2004.8.5)