孫がいなくなる日
「1.29ショック」、後出しジャンケンと言われ、これが先の参議院選挙で、自民党が敗北する原因ともなった。一人の女性が生涯に産む子供の数が過去最低を更新。日本の少子化の現状は、「国家的危機」と認識すべきという識者までいる。
先日、朝日新聞の読者の声欄に30代の主婦から「男性の家事力、出生率上げる」と載っていた。今の子持ちの既婚男性は、身の回りのことを妻に頼み、家事を分担しようにも技術がない。出生率を上げたければ教育改革が必要。男性にも学校で料理、掃除、洗濯、家計管理などの家事全般の技術を徹底的に教える。そして家事能力がなければ、進級・進学ができないような教育制度にすべきだと手厳しい。
たしかに、出産、子育てで負担がかかるのは女性。共働きで家計を支え、家事をして家庭生活を支え、子供を産めば子育ても妻中心。基本的にはすべての家庭の役割が妻任せ。こんな惨めな家庭生活が待ち受ける現実に、若い女性が結婚し、子供を産もうという気になるはずがない。
もう1つのキーは、若年層の就職難や失業の問題。とりわけ、若年層のフリーターは417万人、5人に1人と言われるが、大きな問題。7月21日に厚生労働省から発表された「03年就業形態の多様化に関する総合実態調査」でも、パート、派遣、契約社員などの「非正社員」が全体の34.6%を占め、3人に1人が非正社員という。
しかも、非正社員の現在の働き方を選んだ理由では、「正社員として働ける会社がなかった」が約4割を占めている。一方、非正社員を雇う理由では、「賃金の節約」が最多(51.7%)。その非正社員のおよそ8割の労働者が月給20万未満の低賃金。こんな低賃金では結婚しても子供を産めない、育てることもできないということになろう。
少子化問題の解決のキーは、前段の男性の子育て参加への強力な対策と若年層の雇用対策、フリーターの解消や正社員化であろう。とくに、後者は、年金保険料の不払いにもつながるだけに、政府が最優先で早急に取り組むべき課題。
でないと、本当に「孫がいなくなる日」(週刊東洋経済7.17)がくる。 (だだっ児)
(2004.8.16)